猫の多頭飼い、猫も飼い主も幸せに暮らすコツ

2018/03/30

vol.003

今の家族に猫をもう1頭迎え入れたい、猫をたくさん飼いたい。そう思っても、みんながハッピーに暮らせるのか、不安に思うこともありますよね。
複数の猫と飼い主が一緒に暮らすコツをテーマに、複数猫を迎え入れるベストシナリオはあるのか、猫同士がうまくいくためのコツはあるのか、獣医師100名にご意見を伺いました。

多頭飼いがうまくいきやすいのは「子猫同士同じタイミングで迎える」こと

まだ猫がいないお家に複数頭をお迎えしたいと強く思っているなら、「子猫同士同じタイミングで迎える」のがうまくいきやすいようです。子猫を大事にお迎えしてあげましょうね。
(例:vol.002「初めてのトイレ、子猫が早く覚えるために飼い主ができること」

「成猫がいるところに、子猫を迎える」は2番目に上げられましたが、「うまくいきやすい」と回答された獣医師の割合は子猫同士の場合と比べて一気に減りました。また「子猫がいるところに成猫を迎える」のもやや難しいようですが、相性もあるので絶対だめということではないでしょう。
さらに難しいのは、成猫同士を異なるタイミングで迎えるときや、成猫を同時期に迎えるときです。これらは、この記事の後半で紹介しているコツをしっかり考慮して、相当慎重に進めていく必要があります。
猫の相性を見て、場合によっては無理しないことも考える必要がありそうです。

広島県
臨床経験:16-20年
得意な診療科:循環器科, 内分泌・代謝疾患, 東洋医学, 他
最初に相性を見た後、合わない猫は無理をして飼わない

オス・メスの相性は?

オスとメスでの相性はどうでしょう。妊娠を考えない場合は、まず去勢・避妊手術を済ませておくことが大切です。ここでは去勢・避妊済みの猫のみを対象として回答いただいています。

グラフを見ると、避妊済みの雌同士が最も相性がよく、雄同士だとやや困難になってしまいそうです。ただ、5名に1名の割合の獣医師は「雄同士が最もうまくいく」と回答されていることにも注目してみましょう。ポイントは性格の見極めでしょうか。

神奈川県
臨床経験:11-15年
得意な診療科:外科、腫瘍科、循環器科
先住猫の性格をよく見極めること

トイレやくつろげる場所の数がポイント!ケージも活用して安全にいろいろなコツを試しましょう

多頭飼いをうまくいかせるコツとして、トイレの個数とくつろぎ場所は、少なくとも猫の数と同じだけ必要と言えます。また、差はあれど、いずれの項目も多頭飼いのコツとして同意するの回答が多いことから、どのコツもある程度有効で、複数試してみるのが良さそうです。

猫同士を合わせるときは慎重に

いきなり対面させることは避け、ケージをうまく使いながら徐々に同じ空間で慣れさせ、飼い主がうまく猫の間に入りましょう。まずは匂いに慣らすことから始めます。先住猫を優先することもポイントになりますし、最初は新しい猫をケージに入れましょう。

東京都
臨床経験:11-15年
最初は別々の部屋で顔を合わせないところから。飼い主がお互いの匂いをつけてお互いを行き来して、匂いに慣らしてから徐々に先住猫フリーにしてケージに入った新入り猫に会わせる。

猫それぞれのくつろぎの場を

トイレを猫の数+1個用意しましょう。さらに猫たちが、それぞれがくつろげる場所や寝床をつくることもポイント。キャットタワーやベッドは複数用意しておきましょう。食事をする場所もわけると、トラブルが減ります。また、お互いがケガをしないように爪を切っておくことも大事です。

千葉県
臨床経験:11-15年
得意な診療科:循環器科
落ち着いて眠る場所を確保することが大事だと思います。個々に気に入ったベッドがあれば喧嘩が少ないようです

仲が悪いときは別の部屋に

どうもうまくいかない、顔を合わせるたびにけんかをしてしまうというときは別々の部屋で飼育することも考えましょう。

岐阜県
臨床経験:11-15年
得意な診療科:外科, 歯科・口腔外科, 腫瘍科, 他
別の部屋で飼育する
兵庫県
臨床経験:0-5年
得意な診療科:腫瘍科, 消化器科, 皮膚科
仲が悪いグループはなるべく隔離

焦らないことも大切

時間をかける、焦らない、というご意見も多くありました。早く仲良くさせたいばかりに、いきなり同じ部屋で過ごさせたり、一緒に寝させようとしたりせず、少しずつ慣れさせることも、多頭飼いをうまくやるコツです。
一見うまくいってるように見えても、飼い主が不在時に大げんかをしてしまう可能性も考え、「最初の数週間は飼い主が留守にする場合、全ての猫をケージにいれる」という防止策も重要です。

東京都
臨床経験:16-20年
得意な診療科:外科, 歯科・口腔外科, 麻酔科, 他
住み分けを上手くやって時間をかけること
埼玉県
臨床経験:11-15年
得意な診療科:皮膚科
各々の性格を理解し、相性の悪い猫同士は無理に接触させない。少しずつ時間をかけて慣らさせる。

まとめ

猫を複数迎える場合、子猫同士同時に迎えるとうまくいきやすく、成猫と子猫、成猫同士や雄同士は難しいこともあります。どうしてもうまくいかない場合は、猫たちが別々の部屋で過ごせるようにするという覚悟をもったうえで、猫の個性や相性をみながら慎重に焦らず進めましょう。

猫それぞれのトイレや、ゆっくりくつろげるお気に入りの場所、寝床を確保できるよう飼い主が環境を整え、みんなが安全快適に過ごせるよう配慮することが、幸せな暮らしのコツです。

100名の獣医師に聞きたいテーマを投稿