犬が雷でパニックに!落ち着かせるにはどうすればいい?
2018/06/04
vol.004
雷が鳴るとびっくりするのは人間だけではありません。犬によっては怯えてパニックになってしまう子もいます。最近の夏の気象は、いきなり雷雨になることも多く、不安な気持ちになっている飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで雷に怯える犬を落ち着かせるにはどうしたらよいか、獣医師100人にご意見を伺いました。雷シーズン、飼い主さんも犬も安心して過ごしたいですね。
雷に怯える犬は意外と多い?
100名の獣医さんに伺ったところ、雷に怯える犬の割合で最も多いのが「2-3割」、続いては「1割程度」となっています。10匹に1匹から3匹の犬は雷に怯える、ということになりますね。
一方で「4-5割」からそれ以上、さらに「9割以上」とお答えいただいた先生もいらっしゃることから、雷に怯える犬は意外といるのではと考えられます。
まずは犬が落ち着く場所を!
今まで聞いたことのない大きな音、不規則に明るく光る稲光、振動など犬にとってはかなり怖いものです。雷に慣れさせる方法として、獣医師100名の回答では「犬が落ち着ける場所を作る」というご意見を多くいただきました。まずは家の中に犬がここにいれば安心できるという場所を用意してあげたいですね。
また、外飼いの子は中に入れることを考えてもいいですが、落ち着ける場所があれば無理に移動しなくてもいいかもしれません。
音に慣れさせるのは、犬によっては有効です
「雷の音に慣れさせる」ことについてはご意見の分かれたところですが、方法として次のようなアドバイスをいただきました。
大きな音や声=いやなことではない、ということを覚えてくれば怯えずに済みますね。
- 埼玉県
臨床経験:11-15年
得意な診療科:一般内科, 循環器科, 総合診療- 大きな声で普段からしゃべる。
- 兵庫県
臨床経験:11-15年
得意な診療科:総合診療, 救急救命科, 一般内科- 雷が楽しいという条件付けを検討。
子犬のうちに、慣れておけば成犬になっても怯えずに済みます。
- 北海道
臨床経験:6-10年
得意な診療科:循環器科, 一般内科- 子犬の頃から録音した音を聴かせる。
ただし、無理に慣れさせないほうがよい場合もあります。怯えている様子をみてみましょう。
いつものコマンドで落ち着かせてみる
いつものコマンド、「おすわり」「まて」で落ち着く子もいます。
- 北海道
- 雷の録音を流しながら、おすわり、待て等の指示の練習。
飼い主さんが落ち着く
また、飼い主さんが知らんぷりする、いつも通りにすることも効果がありそうです。
- 広島県
- 飼主は相手にしない。
飼い主さんは怖がらずに落ち着きましょう。
実は飼い主さんご自身が、雷が苦手という方も多いのではないでしょうか。
- 和歌山県
- 人が落ち着くこと。
飼い主さんが落ち着いていれば、犬も安心しますね。
慣れさせるのが難しい場合はお薬も
慣れさせることが難しい場合もあります。獣医さんに相談して、お薬を処方してもらうのも手です。
- 熊本県
- 補助として薬の活用。
- 宮崎県
臨床経験:21-25年
得意な診療科:一般内科, 内分泌・代謝疾患, 眼科- サプリメント、薬剤の使用。
雷シーズンでのお留守番では「雨戸やカーテンを閉める!」こと
晴れていたのに突然の雷、は夏場によくある天候です。犬だけを留守番させておく場合の対策として最も多かったのは「雨戸やカーテンをあらかじめ閉めておく」という回答でした。
事前に天気予報をチェック
- 熊本県
- 天気予報で雷の情報をあらかじめ把握しておく。
雷予報が出ている日は、雨戸やカーテンを閉めて出かけると安心ですね。
- 岐阜県
臨床経験:16-20年
得意な診療科:外科, 泌尿器科, 総合診療- 雨戸を閉める。
- 北海道
- 防音する。
留守番中はケージに入れて安全対策を
留守番中は、すぐに対応できないので安全対策をしておきましょう。外飼いの子は家の中が落ち着くなら、入れておくほうがいいでしょう。
また、家で自由にするより、サークルやケージ内に入れておくほうが安心です。
- 北海道
臨床経験:6-10年
得意な診療科:循環器科, 一般内科- ケージ等落ち着ける逃げ場を用意しておく。
周囲に危険がないか、ケージやリードなども確認を
パニックで思わぬトラブルもあります。危険のないように周囲を確認しておきましょう。
- 大阪府
- パニックになって逃げようとするので、リードの巻きつきや、ゲージの柵などに挟まれないように注意する。
- 静岡県
臨床経験:16-20年
得意な診療科:一般内科, 総合診療, 皮膚科- あぶないものは置かない。2階はやめる。
どんなことがあるかわからないので、ケガのないように気を配っておきましょう。
- 北海道
- 犬が安全だと感じているであろう場所に入れるようにしておくこと。パニックになった時に怪我などしないように、周囲に危険なものは置かない。
- 山形県
- 暴れても大丈夫なようなところに入れる。
心配な時は獣医さんに相談しましょう
心配な子には獣医さんに相談し、場合によってはお薬を出してもらうといいでしょう。
- 福岡県
臨床経験:11-15年
得意な診療科:一般内科, 皮膚科, 消化器科- 気持ちを落ち着かせる薬を飲ませておく。
- 北海道
- 精神安定のサプリメントを飲ませておく。
飼い主さんは早めの帰宅を!
そして出かけた飼い主さんは、なるべく早く帰ってあげましょう。しかし淡々と接してあげたほうが効果的です。
- 東京都
- なるべくひとりにしないようにする。
- 埼玉県
臨床経験:16-20年
得意な診療科:循環器科, 総合診療, 歯科・口腔外科- 早めに帰宅。
- 茨城県
臨床経験:26-30年
得意な診療科:皮膚科, 一般内科, 外科- 帰宅時に飼い主が騒がないように心がける。「雷凄かったね、怖かったね」なでなでなでなでとかしないようにする。シラーッと帰ってきてシラーッと接する。
雷が鳴っている時、怯えている犬にできることは?
雷に備えて環境を整える
留守番中でなくても、雨戸・カーテンは閉めて音や稲光を感じさせないことが大切なのですね。また、狭い場所に入ってしまったら、落ち着くまでそっとしておきましょう。
もしも散歩中に雷に遭遇したら、早めに帰宅しましょう。
落ち着かせるにはスキンシップを
抱っこしたり撫でたり、犬の好きな遊びをして気を紛らわせてあげましょう。
- 埼玉県
臨床経験:11-15年
得意な診療科:一般内科, 循環器科, 総合診療- いい子いい子する。
- 大阪府
臨床経験:11-15年
得意な診療科:総合診療, 一般内科, 内分泌・代謝疾患- 声をかけてあげる。
- 岐阜県
臨床経験:16-20年
得意な診療科:外科, 泌尿器科, 総合診療- 言葉をかける、体を触る。
いつものコマンドを出して落ち着かせましょう
- 兵庫県
- コマンドをだしてみる。
- 北海道
- アイコンタクト、お座り等の指示。
食べることが好きな子には何か食べさせてみましょう
- 北海道
臨床経験:6-10年
得意な診療科:循環器科, 一般内科- おやつなどを与える。
- 千葉県
- 食事を与える。
飼い主さんも落ち着いて
この時大切なのは「飼い主さんが落ち着くこと」です。
- 茨城県
臨床経験:26-30年
得意な診療科:皮膚科, 一般内科, 外科- 飼い主がまず落ち着き払っている様子を見せつける。
- 北海道
- 飼主が雷に無関心で平然としていれば、犬の恐怖心が少しは緩和される可能性がある。
- 和歌山県
- 人が落ち着くこと。
雷が鳴った時の症状によっては、受診も
受診したほうがよい症状はけいれん・嘔吐・下痢・パニック
けいれんや嘔吐・下痢・パニックは受診することがおすすめです。けいれんは動画にとって獣医さんに見せるとわかりやすいです。
雷に怯えて様々な症状が出る犬については、何かのついででも獣医さんに相談しておくと安心です。
熱や震え・発作も受診を
- 岡山県
臨床経験:11-15年
得意な診療科:総合診療, 皮膚科, 循環器科- 熱がでるほど震える、雷が鳴り終わってもずっと震えている場合は受診したほうが良いと思います。
- 千葉県
- 発作。
- 埼玉県
臨床経験:16-20年
得意な診療科:循環器科, 総合診療, 歯科・口腔外科- 呼吸状態の異常。
激しく興奮した子は尿もチェックしておきましょう。
- 宮崎県
臨床経験:21-25年
得意な診療科:一般内科, 内分泌・代謝疾患, 眼科- 激しい興奮運動にて血尿が出た犬がいましたので、尿の色にも注意が必要です。
また、心臓に持病がある子は呼吸に気を付けてあげましょう。
- 埼玉県
- 心臓が悪い子の呼吸状態。
ケガにも注意が必要
興奮でケガをしないように注意します。
- 静岡県
臨床経験:16-20年
得意な診療科:一般内科, 総合診療, 皮膚科- 興奮による怪我。固いものを噛むなど。
- 滋賀県
- 破壊行動。
雷は犬の脱走に注意!
雷で注意することとして、「犬が驚いて逃げてしまう」ということがあります。
散歩中はもちろん、留守番中も、在宅時でも家からも出ていってしまわないように気を付けておきましょう。
- 埼玉県
臨床経験:16-20年
得意な診療科:一般内科, 循環器科, 総合診療- 家から逃げて帰ってこなくなる。
- 大阪府
- 逃亡。
- 北海道
- 脱走する。
- 宮崎県
臨床経験:21-25年
得意な診療科:一般内科, 内分泌・代謝疾患, 眼科- 網戸を破壊して逃走した犬がいましたので、室内飼育でも油断しない様に。
まとめ
犬が雷に怯えて興奮状態になったら、以下の3つが大切です。
1.まずは落ち着く場所を作ってあげること
2.窓を閉めるなどして防音環境を整えること
3.飼い主さん自身が落ち着くこと
あまりに、パニック状態がひどかったり、けいれんや発熱が見られたりしたら、受診することも大切ですね。それほどひどい症状でなくても、雷が鳴るたびに怯えているようでしたらお薬の服用などを獣医さんに相談してみましょう。