「無駄吠え?」犬を静かに留守番させる方法は?
2018/09/03
vol.012
「愛犬が吠えること」で悩まされている飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
犬は吠えるものとはいえ、度が過ぎると困ってしまいますよね。飼い主さんが家にいる時は対応できますが、留守中にずっと吠えていたらご近所迷惑になってしまいます。
吠えてしまう犬とどう向き合っていけばよいか。100人の獣医師に、どのような対策があるか伺いました。
吠えてしまう犬、どのくらいいる?
飼い主さんが在宅中、また留守中に吠えてしまう犬は、「1割程度」「2-3割程度」という回答が8割以上でした。少ない割合ながらも「4-5割」、またそれ以上という回答もあり、何らかの理由で吠えてしまう犬が一定数いることがわかります。
在宅中に吠える犬への対策は?
飼い主さんが家にいるのに犬がやたらと吠えてしまったとき、どういった方法で止めさせることができるでしょうか。
どの対策についても「どちらとも言えない」は、多い時は半分以上、少なくとも3割近くをしめています。これは「犬による」「状況による」ため、効果がある場合とない場合があると考えられます。
声をかけると興奮して余計に吠えてしまう犬には、「普通に接する」「吠え終わったら褒める」という方法をとってみるとよさそうです。
「雷」に怯えて吠える場合は、「好きな遊びで気を紛らわす」「抱っこしたり撫でたりしてなだめる」「おやつを与える」などの方法が有効でしょう。
【参考】過去の記事「犬が雷でパニックに!落ち着かせるにはどうすればいい?」はこちら。
他にも、在宅中に吠える犬に飼い主さんができる対策やポイントがないか伺いました。
まずは吠える原因を探ること
吠えていることに気持ちが行ってしまいがちですが、犬が吠える「原因」を突き止めることが大切です。原因が解決しただけでピタリとやむかもしれません。
- 広島県
- なぜ吠えるのか原因を考える。 吠えたら、待てや伏せやお座りなどをさせ、できたらほめる。
- 静岡県
- カメラなどで無駄吠えをしているところを撮影。原因を探る。
撮影すると、今まで気づかなかったことも気づけそうです。スマートフォンなど活用したいですね。
また、原因がわかったら具体的な対策をすることも大切です。
- 埼玉県
臨床経験:1-5年
得意な診療科:皮膚科,循環器科,一般内科- 吠えるシチュエーションを分析(チャイムや電話、人の出入りなど)し、それを飼い主が近くにおり犬がもっとも安心できる状況下で少しずつ慣れさせる。たとえばチャイムならその音をスマホに録音し小さい音から少しずつ聞かせて慣れさせる。吠えなければご褒美をあげる。
外的な刺激や状況が原因になっている場合は、そのような環境から犬を避けてあげることが有効です。
- 京都府
- 外的刺激に対してはカーテン、ケージにタオルをかけて目隠し。
- 神奈川県
- そのシチュエーションにしない様に生活する。
吠えている最中は「無視」か「天罰」で対応
いざ吠えてしまうと「静かにしなさい!」など言ってしまいがちです。来客中などには特に何とかしなくちゃと思ってしまいますよね。
- 北海道
臨床経験:11-15年
得意な診療科:一般内科,外科,歯科・口腔外科- 飼い主自身が落ち着くこと。面と向かっては申し上げにくいですが、犬と飼い主が一緒に大騒ぎしているケースが多くあります。
まずは飼い主さんが落ち着きましょう。飼い主さんが落ち着くだけで、犬も落ち着くことがありますよね。
かまうことで余計吠えてしまう愛犬には「無視」をするのも効果的です。
- 東京都
臨床経験:6-10年
得意な診療科:総合診療,消化器科,循環器科- 吠えている時はかまわずに完全に無視をすること。吠えている時に反応してしまうと、吠えるとかまってもらえると思ってしまうため。
- 広島県
臨床経験:16-20年
得意な診療科:総合診療,腫瘍科,放射線科- 声もかけない、目もあわせない。
天罰方式は、飼い主さんがやっていることを悟られないようにしましょう。
- 東京都
臨床経験:6-10年
得意な診療科:皮膚科,神経科,栄養学- 無駄吠えしたときに、飼い主がやっているとわからない方法で罰を与える(天罰の方法)
- 埼玉県
臨床経験:6-10年
得意な診療科:歯科・口腔外科,皮膚科,外科- 無駄吠え中、犬の目を見ないで新聞紙で壁を叩く天罰方式。
吠えるのをやめたら褒めることも大切ですね。
- 千葉県
臨床経験:6-10年
得意な診療科:一般内科,総合診療,皮膚科- 吠えたら驚くことをして、吠えなくなったらものすごく褒めてあげるを繰り返す。
犬とのコミュニケーションも見直してみましょう。なかなかうまくいかないときは薬剤やサプリメントの投与も獣医さんに相談してみるといいですね。
- 東京都
臨床経験:21-25年
得意な診療科:総合診療,循環器科,消化器科- コミュニケーションが大切。
- 東京都
臨床経験:16-20年
得意な診療科:一般内科,消化器科,循環器科- 薬剤やサプリメントの事前投与。
留守番中に吠える犬への対策は?
「留守番中に犬が吠えてしまう」場合、これを防ぐ方法はあるでしょうか。外出前や外出中にできる対策について伺いました。
「好きなおやつをコングなどに詰めて与えておく」「出発するときに飼い主が犬に『声をかけない』」方法は、比較的効果が期待できそうです。
ただ、「どちらとも言えない」または「同意されない」というご意見もあり犬のタイプや状況にも左右されることが考えられます。いままでこの2つの方法をとったことがなかった方は、まずは試してみてはいかがでしょうか。
また「出発時に声をかける」ことは「同意されない」獣医師が半数近くいる一方、「どちらとも言えない」ことに同意する獣医師も同じくらいいらっしゃいます。いろいろな方法を試して、犬にあった方法を見つけてみましょう。
原因を探る
留守番中になぜ吠えてしまうのか、原因を探ることから始めましょう。
- 埼玉県
臨床経験:1-5年
得意な診療科:皮膚科,循環器科,一般内科- まず何に吠えているのかはっきりしないと何も言えない。
基本的なしつけも忘れずに
意外と忘れがちな、普段の基本的なしつけも見直してみましょう。
- 北海道
臨床経験:11-15年
得意な診療科:一般内科,外科,歯科・口腔外科- ベタベタに甘えさせるだけの生活を改善すること。ひとまず無駄吠えは置いといて、一般的なしつけをしっかりするだけでも落ち着いた犬になることが多いように思います。犬種にもよりますが。
留守番の練習も効果的
いきなり留守番させるのではなく、少しずつ慣れさせる練習もしておきます。
- 広島県
臨床経験:16-20年
得意な診療科:総合診療,腫瘍科,放射線科- はじめは短時間から初めて、徐々に居ない時間を長くするよう訓練する。
- 兵庫県
臨床経験:1-5年
得意な診療科:内分泌・代謝疾患,皮膚科,歯科・口腔外科- 外出時間を徐々に延ばす。
ケージにいると落ち着けるようになっていると安心ですね。
- 大阪府
臨床経験:11-15年
得意な診療科:総合診療,一般内科,内分泌・代謝疾患- ケージに入れる訓練を日頃からやっておく。ケージに入ったらいいことある、落ち着く場所であると、教える。
1匹でいても大丈夫でいる工夫も
留守番のときは、1匹で安心して過ごせる工夫も必要です。
- 埼玉県
臨床経験:11-15年
得意な診療科:一般内科,循環器科,総合診療- 外出したら吠えて警備をしている気持ちになるので、安全だと思えるような家の構造にする。
- 東京都
臨床経験:16-20年
得意な診療科:腫瘍科,一般内科,眼科- フード遊びながら食べれるような、工夫をしてもらう。
- 東京都
臨床経験:31-35年
得意な診療科:総合診療,内分泌・代謝疾患,一般内科- 電灯は、夜であればつけておく。
外出するときは静かに出ていく
「出かけることが分かるだけで落ち着きがなくなる犬」には、外出を悟られないようにしましょう。
- 岐阜県
臨床経験:21-30年
得意な診療科:総合診療,歯科・口腔外科,皮膚科- 外出を気付かれないように注意して外出する。
- 大阪府
臨床経験:21-25年
得意な診療科:一般内科- そっと出ていく。
飼い主さんの外出に「特別感」を与えない工夫もしてみましょう。
- 愛知県
臨床経験:6-10年
得意な診療科:総合診療,歯科・口腔外科,皮膚科- 出かける前には特別なことをしないようにいつもどおりにする。
- 埼玉県
臨床経験:6-10年
得意な診療科:皮膚科,内分泌・代謝疾患- 外出するときに必ずするようなこと(鍵をもつなど)を出かけないときにもする 。出かけないのに鍵の音をわざと鳴らせる。
帰宅後の行動も気を付けましょう
帰ってから構いすぎると、留守番が特別なことと捉えてしまいそうです。家に帰った時も淡々と対応するのもポイントですね。
- 静岡県
- 帰ってきたとき過剰に構わない。
犬によっても事情や体調も異なります。原因を突き止め、愛犬にあった対処方法を見つけましょう。
留守番中に吠えないように、普段からできる対処法は
お仕事や学校で犬が留守番をすることがあるご家庭も多いと思います。また買い物やお出かけなどの時も静かに待っていられるよう、普段からできることをしておきましょう。
「ハウストレーニングを行う」ことには8割の獣医師から同意をいただきました。どの犬にも絶対効果があるとはいえませんが、ハウストレーニングをしておくことは、留守番中の無駄吠えにかなりの効果がありそうです。
万が一の災害で避難をしたときも、クレートに入っていられるというメリットもありますね。
「十分な散歩と運動を行う」ことに7割以上の獣医師の同意をいただきました。歩くのが大変なシニア犬も、カートを使って散歩するとよさそうです。
無駄吠え防止グッズは、「どちらとも言えない」という回答が半分以上を占めました。犬や状況によって効果の有無がわかれるところです。使ってみたい飼い主さんは、かかりつけの獣医師や犬の行動の専門家と相談してみましょう。
留守番中の無駄吠え、なかなか治まらないときは
いろいろ対処したり対策をとったりしたけれど、なかなか治まらない時はどうしたらよいか伺ってみました。
行動学の専門医・訓練士・しつけ教室などに相談
問題行動を扱う専門医や訓練士・しつけ教室などに相談してみましょう。今まで気づかなかった解決の糸口がみつかる可能性があります。相談するときは動画を撮っておくと説明しやすいですね。
- 埼玉県
臨床経験:1-5年
得意な診療科:泌尿器科,一般内科,総合診療- 行動治療の専門家に相談。
- 兵庫県
臨床経験:1-5年
得意な診療科:内分泌・代謝疾患,皮膚科,歯科・口腔外科- ムービーを撮って病院へ相談。
見落としがちなのが「去勢」です。もし未去勢である場合は、かかりつけの動物病院に相談しましょう。
- 埼玉県
臨床経験:1-5年
得意な診療科:皮膚科,循環器科,一般内科- 未去勢の場合には去勢を検討する。本当にちゃんと試しているのか、専門医のカウンセリングを受けた上で再度実行してもらう。
場合によっては投薬やサプリメントも
お薬やサプリメントの使用も視野に入れましょう。
- 大阪府
- 問題行動治療薬の内服を試してみる。
まとめ
「無駄吠え」と言ってしまいがちですが、犬にとっては理由や原因があるもの。まずは、どうして吠えるのかその原因を探って対応していきましょう。とは言っても、吠えているときに構いすぎることは多くの場合逆効果になるため、飼い主さんがまずは落ち着くことも大切です。
「普通に接する」「吠え終わったら褒める」など、さまざまな対策を行っても吠えるときは、飼い主さんだけで悩まず、かかりつけの獣医さんや、行動学・しつけの専門家などに相談してみましょう。