猫の嘔吐を減らすには? 症状によっては受診を

2018/10/04

vol.014

猫は吐きやすい動物です。とはいえ、吐く回数を少しでも減らしてあげたいと考える飼い主さんや、病院に連れて行こうか判断に悩んでいる飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、獣医師100名に猫の嘔吐の対処法や注意すべきことについて伺いました。

猫の嘔吐、こんな症状のときに注意

100名の獣医師に伺ったところ、約9割の獣医師が「吐いた後にぐったりして元気がない」「お腹が張っている」「嘔吐と一緒に下痢が起こる」などの症状の場合はすぐに受診すべきと回答されました。

また、「嘔吐物から異臭がする」「嘔吐物に血が混ざっている」「吐く素振りを見せるが何も吐けない」という症状の場合も、十分に注意が必要でしょう。

そのほか、病院に連れていくべき症状や注意すべきことについて100名の獣医師に伺ってみました。

異物を食べてしまったケース

猫のお腹を触って、お腹が張っていたり、痛がったりした場合は、異物誤嚥の可能性があります。すぐに病院で診てもらいましょう。

京都府
臨床経験:21-30年
得意な診療科:一般内科,皮膚科,運動器科
吐出といわれる異物誤嚥の可能性のある時。体重減少のあるときは受診すべきだと思います。
大阪府
臨床経験:21-30年
得意な診療科:皮膚科
過去に一度でも、異物を誤食した、若しくは、口にしていた過去があれば、注意が必要。直ぐ受診した方が良い。

発熱や食欲低下がないか、猫の様子をみてみる

埼玉県
臨床経験:6-10年
得意な診療科:皮膚科,一般内科
嘔吐よりも食欲があるかないかが大事。

「熱はあるか」「食欲はあるか」「脱水症状はあるか」「嘔吐後にぐったりしていないか」など、猫の状態を確認してみましょう。嘔吐後も食欲がある様子が確認できれば、安心です。

福島県
臨床経験:31-35年
得意な診療科:一般内科,消化器科,皮膚科
猫の体を触って熱があるかどうか、脱水があるかどうか、痛いところがあるかを確認して欲しい。
愛媛県
臨床経験:11-15年
得意な診療科:総合診療,麻酔科,歯科・口腔外科
吐いた後にうつ伏せの体勢(腹臥位)でいて横臥位にならない場合。眠らない、呼吸が早い場合。

不安事があれば、まずは受診を

千葉県
臨床経験:6-10年
得意な診療科:総合診療,皮膚科,一般内科
飼い主さんがご不安に思うことが少しでもあれば、まずご相談ください。

嘔吐物や嘔吐後の猫の様子について、少しでも気になることがあれば掛かりつけの病院に相談してみましょう。

嘔吐の回数を増やさないための対策は?

毛玉による嘔吐の場合は定期的なブラッシングを

「定期的にブラッシングを行う」「空腹時間を減らす」「毛玉ケアフードに変えてみる」という対策については、半数以上の獣医師から同意を頂きました。

反対に、「猫草を与える」「トリミングをする」「シャンプーで洗う」などの対策についてはあまり効果が期待されないようです。

石川県
毛玉による嘔吐であれば、上記の対策「定期的にブラッシングを行う」「空腹時間を減らす」「毛玉ケアフードに変えてみる」で十分。

毛玉による嘔吐の場合は、上記の対策「定期的にブラッシングを行う」「空腹時間を減らす」「毛玉ケアフードに変えてみる」で十分というご意見を頂きました。

では、他の原因がある場合は、どのような対策をとれば良いのでしょうか。

ストレスの場合:原因を取り除く

引っ越しなどにより生活環境が変化した場合、嘔吐の原因は猫のストレスかもしれません。
ストレスの原因を調べ、取り除いてあげましょう。

千葉県
臨床経験:6-10年
得意な診療科:総合診療,皮膚科,一般内科
食事以外に普段の生活でストレスを減らすことをお考えいただいても良いと思います。
岐阜県
臨床経験:21-30年
得意な診療科:総合診療,歯科・口腔外科,皮膚科
猫は環境へのストレスを敏感に感じる動物です。猫の気持ちになってストレスの原因を調べてみて下さい。

早食いさんの場合:早食い防止の策を

おやつを与え過ぎたり、一度に大量の餌を与えることは控えましょう。猫に早食いの癖がある場合は、餌を少しずつ与えて、ゆっくり食べさせてあげてください。早食い防止の食器を使用してみるのも良いでしょう。

兵庫県
一度にたくさん食べ過ぎないように気を付ける。
埼玉県
臨床経験:6-10年
得意な診療科:消化器科,一般内科,泌尿器科
早食いの子へ早食い防止食器の使用。

原因別に対策が異なる

嘔吐の原因によって取るべき対策は異なります。原因がはっきり分からない場合は、病院で相談してみましょう。

大阪府
臨床経験:11-15年
得意な診療科:総合診療,一般内科,内分泌・代謝疾患
嘔吐の原因を見つけるために受診してもらう。

嘔吐後はどう対処すべき?

嘔吐物そのものや、嘔吐後の猫に異常が見られない場合、「嘔吐物を清掃」して「そっとしといてあげる」ことが推奨されます。

異物が混ざっていないか確認

清掃してしまう前に、嘔吐物に異物が混ざっていないか見てみましょう。

兵庫県
臨床経験:1-5年
得意な診療科:内分泌・代謝疾患,皮膚科,歯科・口腔外科
異物が混入していないかを確認する。

嘔吐後、すぐに餌を与えないこと

嘔吐後すぐに餌を与えてはいけません。餌を与えることで嘔吐を繰り返してしまっては、猫にとっても負担になってしまいます。

神奈川県
臨床経験:21-30年
得意な診療科:泌尿器科,放射線科,総合診療
嘔吐後、すぐに水や食べ物を与えると反射的に吐いてしまうことがあるので、2時間程度は何も与えず胃を休めてあげる。ただし、夏場などでは脱水が急速に進むことがあるので様子はよく見てあげてください。

嘔吐後の数時間は、胃を休ませてあげましょう。

北海道
臨床経験:16-20年
得意な診療科:総合診療,外科,一般内科
食べたものを吐いた場合は、数時間食べ物を与えない。

受診する場合は、嘔吐物の記録をとりましょう

病院で受診する際は、嘔吐の回数の記録や嘔吐物を持参すると、獣医師にスムーズに症状を伝えることができます。嘔吐物を持っていくことが難しい場合は、嘔吐物の写真でも良いでしょう。

千葉県
臨床経験:6-10年
得意な診療科:総合診療,皮膚科,一般内科
嘔吐物を受診の際お持ちいただくと参考になる場合があります。
北海道
受診する場合に備えて、写真に撮っておく(日時も記す)

除菌も大切

嘔吐物の清掃の際は、ペットのトイレ用除菌シートなどを使い、しっかり除菌を行いましょう。

埼玉県
臨床経験:6-10年
得意な診療科:消化器科,一般内科,泌尿器科
吐物処理の際、しっかり除菌をすること。

まとめ

猫の嘔吐において「嘔吐後に元気がなく食欲がない」「お腹が張っている」「嘔吐と一緒に下痢が起こる」などの症状がみられた場合は、すぐに動物病院で受診をしましょう。

猫は吐きやすい動物です。猫の嘔吐の頻度を減らしてあげるには、「定期的にブラッシングを行う」「空腹時間を減らす」「毛玉ケアフードに変えてみる」などの対策をとると良いでしょう。

嘔吐から数時間は、猫に餌を与えないようにしましょう。また、嘔吐後の猫の様子を観察してみてください。嘔吐物や猫の様子に異変があった場合は、動物病院で診てもらいましょう。