去勢後もスプレー行為をつづける猫、どんな対策がある?
2018/11/30
vol.016
強いニオイがするおしっこをかける猫のスプレー行為に、悩まされている飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか? 特に室内飼いの場合は、数日とれないような強いニオイが部屋中に撒かれるため、掃除が大変な作業になってしまいます。猫のスプレー行為を事前に防ぐ対策はあるのでしょうか。
今回は、獣医師100名に去勢後の猫のスプレー行為の原因と対策について伺いました。
スプレー行為とは?
スプレー行為とは、猫が濃いおしっこをかける行為を指し、縄張りをアピールするマーキング行為の一種です。去勢をしていないオス猫に多く見られます。
多くの場合、適切な時期に去勢手術をすることで、スプレー行為を未然に防ぐことができます。しかし、中には去勢後も様々な理由でスプレーをしてしまう猫がいるようです。
去勢後もスプレー行為を続ける猫、どれぐらいいる?
「ほとんどいない」が29%、「数%程度いる」が47%という結果になりました。「それ以上いる」という回答も6%あるため、去勢したからといって、スプレー行為を完全に防げるわけではなさそうです。
去勢手術の適切な時期は、生後6か月ごろ
猫の去勢手術は、初めての発情期を迎える前(生後6か月頃)が理想です。猫は発情期にスプレー行為を覚えることが多いため、適切な時期に去勢手術をすることで未然に防ぐことができます。
- 福岡県
臨床経験:21-25年
得意な診療科:循環器科,一般内科,外科- スプレー行為をし始める前に去勢することが大切。適切な時期の去勢後にスプレー行為をするようになった子は経験がありません。
スプレー行為を防ぐためにも、適切な時期に去勢手術を受けることが重要なのですね。
去勢後も猫のスプレー行為が続く場合、対策は?
発情期にみられるスプレー行為は、適切な時期に去勢手術をすることで防ぐことができます。しかし、様々な理由で去勢後もスプレー行為をすることがあります。
去勢後もスプレー行為がとまらない猫にできる対策について、獣医師に伺いました。
「トイレを清潔に保つ」「新しい猫を迎えた場合、慣れるまで生活環境を分ける」「スプレー行為をした場所をきれいに掃除する」「トイレの数を増やしたり、場所を変えたりする」という回答で約9割の同意を得ることができました。
猫が去勢後にスプレー行為を行う原因は、「猫の生活環境によるストレス」「トイレの環境」に起因するものが多いようですね。
また、どんな理由であれ、猫は本能的にスプレー行為を行っているので、スプレー行為をした場合に猫を叱らないようにしましょう。
まずは、猫がスプレー行為をする原因を考える
- 東京都
臨床経験:11-15年
得意な診療科:総合診療,救急救命科,麻酔科- スプレーは猫の意思表示であるので、なぜそこにするのかをしっかりと把握できるように対策を考えてみるほうが良いと思います。
猫のスプレー行為は、猫の意思表示でもあります。まず一度、猫がスプレー行為をしてしまう原因を考えてみましょう。
トイレの数を増やしてみる
- 山口県
- トイレを増やしたり、きれいな状態を維持する。
今のトイレの数や、トイレの状態に不満を感じているのかもしれません。トイレは清潔な状態を保つように心がけましょう。
猫のストレスを取り除いてあげる
- 神奈川県
臨床経験:16-20年
得意な診療科:一般内科,外科,循環器科- 精神的あるいは肉体的なストレスが関与しているケースも多く見られるので、ストレス要因の除去に努めるよう指導しています。
- 広島県
臨床経験:11-15年
得意な診療科:皮膚科,総合診療,歯科・口腔外科- 猫の落ち着く環境を作ってあげる。
ストレスが原因でスプレーを行うことがあります。例えば、多頭飼いの場合は、他の猫とのケンカや共有しているトイレの状態など、様々な理由が考えられますね。猫が感じているストレスの原因を取り除いてあげましょう。
消臭剤のニオイに注意
飼い主が猫の縄張りに別の匂いを持ち込むことで、猫がストレスを感じる場合があります。
- 三重県
臨床経験:21-25年
得意な診療科:一般内科,皮膚科- スプレーをした場所の掃除に使用する消臭剤の種類に注意。人にとっては心地良い香りでも猫には不快だったり、不安を与える場合があります。
スプレーした場所に匂いが残っていると、他の猫への刺激になってしまったり、時間がたってから同じ場所にスプレー行為をすることもあります。ペット用の消臭グッズを使って しっかりと掃除しましょう。
同時に、部屋で使用している消臭剤のニオイを猫が不快なニオイとして嫌っている場合もあるため、消臭剤選びには注意しましょう。
フード・サプリメント・製剤など
留守中に頻繁にスプレー行為が起こる場合は、飼い主が離れることに対する猫の不安が原因かもしれません。
- 北海道
臨床経験:16-20年
得意な診療科:総合診療,外科,一般内科- 精神を安定させるような、フードやサプリメント、フェロモン製剤がある。
- 埼玉県
臨床経験:11-15年
得意な診療科:消化器科,皮膚科- フェロモン剤をまく。
猫の精神を安定させるためのフードやサプリメント、マーキングを抑える製剤などがあります。気になる方は、動物病院で相談してみましょう。
スプレー行為は、止められないこともある
- 山形県
臨床経験:21-30年
得意な診療科:皮膚科,眼科- スプレー行為前の去勢手術を勧めている。スプレー後の手術の場合、行為が残る場合があることを事前に説明する。
- 石川県
- どうしてもやる子はやる。
猫がスプレー行為を覚えてから去勢手術をした場合は、去勢後もスプレー行為をやめさせることができないケースがあります。
- 神奈川県
臨床経験:21-30年
得意な診療科:泌尿器科,放射線科,総合診療- 確実な方法はないので、様々な方法を試すことが大事。
いろいろな方法を試して、向き合っていくことが大切です。
まとめ
スプレー行為を未然に防ぐため、初めての発情期を迎える前(生後6か月頃)に、猫の去勢手術をすることが重要です。
去勢後もスプレー行為がみられる場合、トイレを清潔に保ち、猫のストレスの原因を取り除いてあげましょう。
去勢後の猫がスプレーをする原因は、「猫の生活環境」「トイレの環境」「強い縄張り意識」など様々です。猫が抱えるストレスに合わせて、様々な対策法を試してみましょう。