犬の健康診断はメリットがいっぱい! 受ける頻度や注意点は?

2019/01/09

vol.022

定期的に愛犬に健康診断を受けさせていますか? 飼い主さんが人間ドッグを受けるように、犬も健康診断を受けることで、病気予防や早期発見ができるという大きなメリットがあります。また犬が元気なときのデータを知っておくことは、体調不良の診察時に役に立ちます。

では、どの程度の頻度で受けるといいのでしょうか。健康診断を受けるときの注意点やその他メリットについて、100名の獣医師に伺いました。

犬の健康診断、頻度はどのくらい?

「年に1度でもよいので健康診断は受けたほうがよい」という意見に79%の獣医師が同意しています。以下「年に2-3回は受けたほうがよい」が20%、「毎月受けたほうがよい」が1%となっています。体調が悪そうなときは、健康診断ではなく診察を受けましょう。

100名の獣医師に、健康診断の頻度についてさらに詳しくご意見を伺いました。

千葉県
臨床経験:6-10年
得意な診療科:歯科・口腔外科, 総合診療, 循環器科
まずは受けてみることが大事。

健康診断を一度も受けたことがない犬は、まず受けに行ってみましょう。病気の早期発見・早期治療のためにも健康診断は大切です。

三重県
臨床経験:21-30年
得意な診療科:皮膚科, 総合診療, 生殖器科
毎日一緒に居ても気づけないことはあるので、健康診断で早期発見早期治療してね。

最低でも1年に一度

6歳を過ぎるあたりから、年に1度は健康診断を受けるようにしましょう。

埼玉県
臨床経験:21-25年
定期的に健康診断をする事が病気の早期発見につながると思いますので、年に一度は受けた方がいいと思います。

犬は人間と歳の取り方が異なる、ということも今一度思い出してみてください。大型犬の6歳は人間の約47歳、小型犬・中型犬の5歳は人間だと約40歳に該当します。そう考えると犬の6歳からは特に健康診断が大事ということがよくわかりますね。

6~7歳を過ぎるあたりから、年に2回程度に増やすのがおすすめです。

東京都
臨床経験:16-20年
得意な診療科:総合診療, 歯科・口腔外科, 一般内科
6歳までは年に一回、6歳を超えたら年に二回をお薦めします。

犬の年齢に合わせて、健康診断の頻度を調整するのがよさそうです。かかりつけの動物病院で相談してみましょう。

滋賀県
1~6歳:年1回
7~10歳:年2回
11~歳:年3~4回
というように、年齢によって適切に頻度を変える。

健康診断を受ける時に注意したいことは?

健康診断を受けるときに注意したいことやポイントを、100名の獣医師に伺いました。

あらかじめ相談や予約を

健康診断に行く際は事前に連絡するか、予約したほうがいいという意見には、75%の獣医師が「同意」、または「どちらかというと同意」するとの回答を頂きました。いきなり病院に行って、「健康診断をしてください」というよりも、事前に相談するようにしましょう。

またワクチンやフィラリアの薬などで動物病院に行ったときに、健康診断について獣医師に相談してみるのもいいでしょう。普段気になる様子がある場合は、その旨を伝えておきましょう。

三重県
臨床経験:21-25年
得意な診療科:一般内科, 皮膚科
健康診断の内容を検討するために一度相談を受けてもらうと良い。
千葉県
臨床経験:6-10年
得意な診療科:歯科・口腔外科, 総合診療, 循環器科
心配なことがあれば伝えてもらう。検査項目、内容を決める手掛かりになるので。

犬の普段の様子を知っている人が連れて行く

ほとんどの獣医師が同意されているのが、健康診断には普段の犬の様子を知っている人が連れてきて欲しいということです。日頃から犬の世話を一番している人が連れて行きましょう。

富山県
いつも面倒を見ている人が連れてくる。
愛知県
臨床経験:36-40年
得意な診療科:一般内科, 消化器科, 泌尿器科
検査の内容について、判断のできる方に来てほしい。

普段の食事やおやつも面倒を見ている人が連れて行き、かかりつけの獣医師にしっかり伝えましょう。

福岡県
与えている食事とおやつを正確に伝えてもらう。

排せつは済ませて連れて行く?

ご意見が分かれたのは「排せつをすませてからのほうがいいのか」ということです。分かれたのには理由があります。

東京都
動物の年齢や飼い主さんの要望などを聞いてから健康診断のメニューを決めたほうがいいので、急にフラッっと来院するのは損だと思います。

血液検査は食後より空腹時の方がいいなど、検査には適したタイミングがあります。
排泄を済ませたほうがいい場合と、ダメな場合もありますよ。尿検査したければ、トイレは我慢してた方がいいですし、お腹のレントゲンやエコー検査は排便してた方が良い事もあったりします。

検査項目によって排せつは済ませておいたほうがいい場合と、我慢させた方がいい場合があるのですね。
また自宅で採尿するほうが、うまくいくかもしれません。かかりつけの獣医師に聞いてみましょう。そして指示に従いましょう。

愛知県
尿検査は自宅で採尿するとスムーズです。12時間絶食の状態で来院してください。

そのほか、次のようなアドバイスもありました。

食事は抜くことがある

検査内容にもよりますが、検査の日は食事を抜くことが多いようです。しっかり確認しておいて、検査当日うっかり食べさせないようにします。人間も健康診断やドッグでは食事を抜きますよね。

東京都
健康診断する日は朝食を抜いてきてもらうのが良い。

犬が健康診断を受けることのメリットとは?

犬が健康診断を受けることで、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

病気予防と早期発見

犬が健康診断を受ける最も大きなメリットは、「病気の予防」「早期発見」につながることです。

東京都
人間ドックや役所の検診と同じ感覚で来て欲しい。病気の早期発見につなげたい。

健康診断を受けていると発病する前に見つけることが可能になります。生活習慣病や、その他全身の感染症予防にも効果的です。

神奈川県
臨床経験:21-25年
得意な診療科:総合診療, 歯科・口腔外科, 内分泌・代謝疾患
発病する前の状態で発見し発症しないように先制医療を行い、少しでも健康寿命を延ばしていく事ができる。

元気そうに見えても病気が隠れていることがあります

福岡県
臨床経験:1-5年
得意な診療科:一般内科, 歯科・口腔外科, 循環器科
犬は見た目で健康状態がわからないことは多く、病気を見過ごしてしまうことが多いので健康診断をした方が良い。
東京都
言葉が話せない分、病気の発見が遅れがちになりますので、健康そうに見えても安心せずに健診を受けてください。

健康時のデータがとれる

「健康時のデータをとることで治療に役立つ」ことについても、99%の獣医師が同意されています。

健康診断を受けておけば、万が一具合が悪くなっても健康時のデータがあるので治療に役立てることができるのも大きなメリットですね。

埼玉県
臨床経験:21-30年
得意な診療科:一般内科, 皮膚科
健康時のデータがあると、病気の時に比較できて治療に役立つ。
広島県
例えば血液検査では、健康時の、その子の「通常値」を知ることが大事。

太りすぎ・やせすぎに気づける

犬の太りすぎや、痩せすぎに早く気づくことができます。毛に覆われていることもあって、いつも一緒に生活していると意外と気づきにくいものです。健康診断できちんと数字にしてもらえると、犬の健康状態を客観的にとらえることができます。

福岡県
臨床経験:21-25年
得意な診療科:皮膚科
現代は肥満犬が多く適正体重であっても、痩せてるのねと言われるような昔では考えられないほど肥満に対する認識が甘くなっていると思うので、肥満は人間と同じで、生活習慣病やその他関節疾患などになるリスクが高くなる事を熟知して欲しい。

健康診断でいつもより話ができるというメリットも

注射の時や、診察の時より色々なことを聞くことができるのも、健康診断のいいところです。

東京都
臨床経験:16-20年
得意な診療科:一般内科, 消化器科, 循環器科
日常のフードや病気以外の相談など、病気の時より時間をかけてお話できる。
東京都
臨床経験:6-10年
得意な診療科:外科, 眼科, 救急救命科
飼い主との信頼関係を築く。

ご自分では些細なことだと思うことでも、まずは獣医師に伝えるようにしてみましょう。

東京都
日常の些細な事でもメモをしてきてくれるといい。
皮膚や歯のことについても診てあげたいです。

飼い主さんも治療に参加する、という意識が大切です。

神奈川県
臨床経験:21-25年
得意な診療科:眼科, 皮膚科
獣医に任せきりにしない。 飼い主も治療等に参加する。
滋賀県
せっかくお金をかけているのだから、検査結果について獣医師に直接いろいろ聞いた方がよい。
検査は獣医師しかできないが、飼い主さんも日頃の様子を観察する重要な第2の動物のお医者さんであることを忘れずに。

まとめ

犬が健康診断を受ける大きなメリットとして、 1.病気の早期発見、早期治療 2.健康時のデータがとれて、病気の際の治療に役立つ ということがあげられます。

犬は飼い主さんに体調不良をうまく伝えられません。飼い主さんは普段からしっかり様子を観察し、動物病院で定期的に健康診断を受けて犬の健康を守ってあげましょう。