猫が病院で大暴れ! 落ち着いた診療のためにできること
2019/02/19
vol.026
猫を病院に連れていくとき、ケージの中から出てきてくれない猫や、威嚇をしたり暴れたりしてしまう猫にお困りの飼い主の方も多いのではないでしょうか。
今回は、獣医師100名に、来院時に暴れてしまう猫について伺いました。
来院時に暴れてしまう猫、どのぐらいいる?
来院時に暴れてしまう猫の割合について獣医師100名に伺ったところ、「1割程度」の回答が半数を占めました。一方で「2-3割」「4-5割」という回答もあることから、来院時に暴れてしまう猫は一定数いるようです。
獣医師が推奨する「猫を病院に連れていく方法」は?
「移動中はタオルなどでキャリーを覆う」という回答に9割程度の獣医師が同意しました。また、「猫を洗濯ネットに入れてからキャリーに入れる」「上部が開けられるキャリーを使用する」などの方法も良さそうです。
そのほか、猫を来院させる方法について獣医師にご意見を伺ってみました。
必ずキャリーに入れて来院する
抱っこで来院した際、万が一暴れてしまった場合は、他の動物や飼い主に迷惑がかかってしまいます。猫を病院に連れていく場合は、必ずキャリーに入れて向かうようにしましょう。
- 山口県
- 猫を何にも入れずに抱っこで連れてくる人がちらほらいますが絶対にやめて下さい。犬のようにリードで連れてくるのもやめて下さい。
- 静岡県
- 上と横が2カ所開くキャリーを勧める。
獣医師が猫をキャリーケースから抱っこして外に出すことができるように、上と横の2カ所が開くキャリーを使用するのがおすすめです。
- 神奈川県
臨床経験:21-30年
得意な診療科:泌尿器科, 放射線科, 総合診療- 移動中に排尿してしまうことが多いので、ペットシーツやタオルを敷いておくことが望ましい。
- 静岡県
- いつも使っている毛布などを持ってきてもらう。
病院に向かう途中に排尿することもあるので、念のためキャリーケースの底にペットシーツを敷いておきましょう。
自分の匂いがついたタオルなども一緒にケージに入れておくと、猫も安心できますね。
診察の順番が来るまで、車内で待機させる
- 三重県
臨床経験:21-25年
得意な診療科:一般内科, 皮膚科- 待合室が犬と一緒の動物病院がほとんどだと思うので、
車で来院した場合は一旦受付だけ行い、順番がくるまで車内で待つ。
診療の受付は飼い主のみで済ませ、診察の順番が来るまでは車内で待たせておくのも良いでしょう。
病院嫌いであることを事前に伝えておく
- 北海道
- 病院が苦手な猫ちゃんは前もって教えてもらい、他の犬などがいない時間に来てもらうなどの対応をしたい。
猫が病院嫌いであることを事前に病院側に伝えることで、スムーズに受診することができるでしょう。
飼い主が落ち着いて対応する
- 神奈川県
- 飼い主の興奮や緊張は猫に伝わるので、キャリーに入れる段階から落ち着いて対応していただきたい。
- 北海道
- 飼主さん自身が落ち着いていることが、とても大事であること。
猫は飼い主の普段と違う様子を敏感に感じ取ります。飼い主ご自身が落ち着いて行動しましょう。
フェロモン製剤を使用してみる
- 和歌山県
- フェロモン製剤の使用を試してみる。
フェロモン製剤とは、猫に安心感を与え、情動を落ち着かせる効果がある製品です。あまりに病院嫌いが激しい猫の場合は、フェロモン製剤を試すのも手でしょう。
診断中に猫を落ち着かせる方法は?
診察中の猫を落ち着かせるための飼い主の行動として、「飼い主が診察中に穏やかな声で猫に話しかける」「飼い主が診察中の猫の頭をなでる」の回答において約7割の獣医師が同意しました。
- 山口県
- 興奮している猫を大声でなだめようとするのは逆効果ですので静かにしてください。
逆に、「飼い主が診察中に大きな声で猫に話しかける」という方法では反対意見が多い結果となりました。診察中は、飼い主が大きな声を出さないように注意しましょう。
今回の飼い主の行動について、先生ごとにご意見が分かれる結果になったため、それぞれご紹介します。
飼い主は診察室の外で待機してほしい
- 岐阜県
臨床経験:16-20年
得意な診療科:外科, 泌尿器科, 総合診療- 飼い主は室外に出る。
まずは、「診察中は診察室の外で待機してほしい」というご意見です。診察内容によっては、飼い主は外に出る必要があるかもしれません。
診察中に飼い主のフォローが欲しい
- 千葉県
臨床経験:6-10年
得意な診療科:歯科・口腔外科, 皮膚科, 一般内科- 処置や採血の時に顔をなでたりフォローしてくれると助かります。
続いて、「診察中に飼い主のフォローが欲しい」というご意見です。診察中に飼い主に頭を撫でられることで、安心して落ち着く猫もいるでしょう。
しかし、診察内容によって飼い主が猫に触れることが好ましくない場合があるため、診察中は獣医師の指示に従うようにしましょう。
爪を切っておく
- 神奈川県
- 爪を切ってきてもらう。
病院嫌いの猫の場合、来院時に爪で引っかかれて怪我をする可能性があります。猫の病院嫌いな性格が心配な飼い主の方には、スムーズな診療のためにも、事前に爪を切ってから来院されることをお勧めします。
まとめ
猫を病院に連れていく際には、必ずキャリーケースに入れるようにしてください。上と横の2カ所ににフタがついたプラスチック製のキャリーケースがおすすめです。
猫は飼い主の動揺を敏感に感じ取ります。来院時や診察中、飼い主も落ち着いて普段通りの行動を心がけましょう。診察中の飼い主の対応については、獣医師の指示に従うようにしましょう。