災害から猫を守ろう【前半】~日頃の備え~
2019/06/07
vol.030
大地震、台風、大水害などの災害は、いつ、どこで起こるか分かりません。災害が起こったときは、飼い主さんも猫も命が助かるように備えておくことが大切です。今回は、災害に備えて猫のためにできることはなにか、100名の獣医師に伺いました。
犬のための災害対策に関する記事「犬の災害対策で準備しておきたいこと【前半】~日頃の備え~」はこちら。
犬のための災害対策に関する記事「犬の災害対策で準備しておきたいこと【後半】~しつけ・迷子予防・避難~」はこちら。
猫のための災害対策は必要!
猫のための災害対策について、96%の獣医師が「必要」であると同意しています。大切な猫を守るためにも、しっかり災害対策をしておきましょう。
猫のために準備したい、避難用品や備蓄品
続いて猫のために準備すべき避難用具や備蓄品について獣医師100名に伺い、同意意見が多かったものを確認してみましょう。
- 名前や連絡先など猫と飼い主情報、猫の写真
- クレートやキャリーバッグ
- ペットフード・猫用の飲料水(5日分以上のストック)
- 常備薬
- ビニール袋・ゴミ袋
- 猫用予備トイレ・予備のトイレ砂
- ワクチン情報や既往症などを記入した健康カード
- ペットシーツ(高齢猫はオムツなど)
- タオルや毛布
- 食器
- 予備首輪
フード・飲料水のストックは必須!
キャットフード・飲料水のストックは大切です。多めにストックしておくと安心です。
- 埼玉県
臨床経験:21-25年- フード、水は備蓄しておくこと。
持病のある猫には常備薬も忘れずに
いつも服用しているお薬がある場合は、忘れずに避難袋に入れておきましょう。常備薬はすぐに取り出せるようにしておきたいですね。
- 北海道
臨床経験:21-25年一般内科, 腫瘍科, 皮膚科- 薬やフードは少し余裕を持っておいてくださいね。
処方食を食べている場合もストックが必要です。かかりつけの動物病院に相談しましょう。
クレートやキャリーバッグも大切
その他に重要なものとして、「クレートやキャリーバッグ」があります。猫を避難所に連れて行く際、避難所で過ごす際はクレートやキャリーバッグが絶対必要になります。
- 東京都
臨床経験:6-10年総合診療, 循環器科, 一般内科- 避難所に持ち運べるケージは必要でしょう。
クレートは少し余裕のあるものが猫にはよさそうです。
- 東京都
臨床経験:6-10年一般内科- ペットがNGな避難所もあるので、キャリーケージはきつきつでないものがいいと思う。
車のある方はケージを車に積んでおくのもおすすめです。
- 三重県
- ネコ用ケージを車に積んでおく。
猫のトイレ
猫によっては突然トイレが変わると戸惑ってしまう子もいます。とはいえ避難所ではいつものトイレが使えないこともあります。同じ形のトイレ、同じトイレ砂をストックしておくと安心です。
- 神奈川県
臨床経験:26-30年外科- トイレが変わるとしなくなる猫の場合は、必ずトイレと猫砂をストックしておいた方がいい。
猫と飼い主さん情報は必須!写真も忘れずに
猫の名前・飼い主さんの名前・連絡先のほか猫との写真もあると迷子になったとき役に立ちます。
- 東京都
臨床経験:6-10年総合診療, 循環器科, 内分泌・代謝疾患- 写真を用意しておく。
首輪の予備を
予備の首輪も置いておくと安心ですね。首輪嫌いに子もいるので、なるべく慣れさせておきましょう。
- 大阪府
臨床経験:21-25年一般内科- 首輪は予備も含めて複数用意、普段から慣れさせておく。
猫袋もあると便利
猫を入れる袋は洗濯ネットでも大丈夫です。避難袋に入れておきましょう。
- 和歌山県
- 逃げないように、洗濯ネットやハーネスなども必要。
猫の身の安全を守るには?
災害時は思いもよらないことが起こります。家の中だからといって安心できません。猫がケガをしたり出て行ったりしないよう対策をしておきましょう。
ガラスの飛散予防をやっておく
ガラスの飛散防止について100%の獣医師が同意しています。万が一ガラスが割れても飛び散らないようにしておきましょう。怪我予防になりますし、割れたガラスから出ていくことも予防できます。
- 東京都
臨床経験:6-10年総合診療, 循環器科, 一般内科- ふだん家から出ない猫でも、窓ガラスが割れパニックになれば逃走してしまうでしょう。
家の中の安全対策は人のためにもなる
「棚からものが落ちないようにする」「家具の転倒予防」などは飼い主さんにとっても重要です。
- 神奈川県
臨床経験:16-20年総合診療, 一般内科, 栄養学- 猫だけでなく、ヒトにも重要になりますから、イロイロ考えてみてください。
留守中はケージに入れることも検討
留守がちで猫が心配な飼い主さんは、ケージに入れておくことや隠れ場所を作っておくのもいいですね。
- 北海道
- 留守番の時はケージに入れ 安全な部屋におく。
- 愛知県
臨床経験:36-40年一般内科, 消化器科, 泌尿器科- 猫の隠れる場所を作っておく。
健康管理も大切
ワクチン接種やノミ、ダニ対策など、日頃から猫の健康管理をしておくと、いざというときも病気予防ができますし、体調不良にも早く気づくことができます。
ワクチン接種・ノミ、ダニ対策・避妊去勢手術をやっておく
普段の生活でもそうですが、災害時に備えるためにも感染症予防のためのワクチン接種や、ノミやダニなどの対策は欠かせません。
- 神奈川県
臨床経験:16-20年皮膚科, 腫瘍科, 外科- いつ災害が起こるかわからないので、ワクチンや、ノミ、ダニの対策はしていた方が良い。
室内飼いの猫でも、ノミ、ダニ対策は必要です。
避妊・去勢手術は、猫同士のトラブルや望まない繁殖を予防することができます。
- 東京都
臨床経験:6-10年総合診療, 循環器科, 一般内科- 避難所に行くとしたら雄は、去勢手術が必要でしょう。
健康診断を受けておきましょう
普段から健康診断を受けておくと、健康なときの値を把握できます。そのため、災害時の体調不良にもすぐ気づくことができます。
- 熊本県
臨床経験:6-10年皮膚科, 一般内科, 循環器科- 健康診断を受ける。
- 北海道
臨床経験:21-25年一般内科, 腫瘍科, 皮膚科- 身体検査や血液検査を定期的に行い、結果をまとめて保管しておくこと。
いろいろなフードを食べられるようにしておく
災害時はいつものフードが手に入らないことも考えられます。ストックが切れたときのことも考え、いろいろなフードを食べられるようにしておきましょう。
- 東京都
臨床経験:11-15年総合診療, 眼科, 一般内科- 普段から何種類か、フードが食べられるようにしておく。『これしか食べない』子にしない。
まとめ
前半の記事では、いつ起こるかわからない災害に備えて日頃から準備しておきたいことについて伺いました。災害から猫の命を守るためにも、飼い主さんの安全のためにも準備しておきたいですね。
災害時の猫の迷子予防や避難については、後半の記事「災害から猫を守ろう【後半】~日頃からやっておきたいこと、迷子予防と避難~」をご覧ください。