災害から猫を守ろう【後半】~迷子予防・避難に備える~

2019/06/07

vol.031

猫は犬と異なり外を自由に行動する子もいるため、災害時には特に迷子になる可能性が高くなります。一緒に避難する際も、クレートやキャリーバッグに慣れていないとストレスを強く感じるかもしれません。

「災害から猫を守ろう【前半】~日頃からの備え~」に続き、後半では災害に備えて日頃からやっておきたいことや、迷子の予防、避難への備えについて100名の獣医師に伺いました。

犬のための災害対策に関する記事「犬の災害対策で準備しておきたいこと【前半】~日頃の備え~」はこちら
犬のための災害対策に関する記事「犬の災害対策で準備しておきたいこと【後半】~しつけ・迷子予防・避難~」はこちら

日頃から猫の生活環境を整えるには?

猫は環境の変化にとても敏感です。災害時、避難所などの新しい環境にできるだけ負担をかけずに慣れてもらうためには、日頃の生活環境を整えておくのが良いでしょう。

クレートやキャリーバッグに慣れさせておくことは重要

猫と安全に避難するためにもクレートやキャリーバッグに慣れておくことは必須です。避難所ではどうしてもクレートやケージで過ごすことが多いため、慣れておくことで少しでもストレスを減らすことができます。

宮城県
臨床経験:21-25年一般内科, 皮膚科, 行動診療科
猫は環境の変化に弱いといわれています、キャリーに普段から慣らす必要があります。
大阪府
臨床経験:0-5年歯科・口腔外科, 一般内科
サークルやキャリーに慣れさせておく。

さらにクレートの中でごはんが食べられるようにしておくと、避難所でもストレスなく食べられるようになります。

滋賀県
臨床経験:26-30年循環器科, 消化器科, 皮膚科
クレートの中で食事ができるようにしておく。

猫をキャリーに入れて外に出る訓練もしておくと、いざというとき安心ですね。

東京都
臨床経験:6-10年一般内科
びっくりして逃げ出す猫ちゃんが多いので、キャリーにいれて外に出す訓練はしておいた方がいいと思う。

クレートのトレーニングをしておくと、万が一の事態が起こってもスムーズな避難ができるかもしれません。

神奈川県
臨床経験:6-10年総合診療, 一般内科, 外科
クレートトレーニングが出来たら良い。

【関連記事】「クレートは犬の安心スペース。クレートトレーニングの方法は?」はこちら

できれば室内飼いにし、外に出さないようにする

自由に外に出かける猫も多いと思いますが、災害時のことを考えると完全に室内飼いにした方が安心です。

宮城県
臨床経験:21-25年一般内科, 皮膚科, 行動診療科
外にいる猫は、災害発生時外にいると、暫く帰宅しないことがおおく、そのまま、行方不明になる可能性が高いといわれています。
滋賀県
臨床経験:26-30年循環器科, 消化器科, 皮膚科
完全室内飼育。

リードをつけられるようにしておく

災害時に行方不明になってしまわないよう、リードやハーネスをつけることに慣れさせておくのも、災害対策として行っておきたいですね。

大阪府
リードをつけれるようにしておく。
和歌山県
ハーネスをつけて外を歩く。

猫の迷子予防は「首輪とマイクロチップ」

首輪とマイクロチップで備える

まずは首輪に迷子札をつけて、連絡先などの情報を書いておきましょう。

山口県
マイクロチップ・首輪に情報を書く。

猫の場合は首輪が外れないと危険な場合もあります。首輪が外れても大丈夫なようにマイクロチップを装着しましょう。

埼玉県
臨床経験:21-25年
マイクロチップを付けておくこと。
神奈川県
臨床経験:6-10年総合診療, 一般内科, 外科
マイクロチップが最も信頼性が高いので、まずマイクロチップを装着して頂くと良いです。

猫も社会化をさせておく

猫もできるだけ社会化しておきましょう。例えば普段から飼い主以外の人に慣れさせておくと、迷子になった時でも保護されやすくなります。

千葉県
臨床経験:36-40年総合診療, 外科, 一般内科
他の猫や人間との接触にならす。
神奈川県
臨床経験:16-20年総合診療, 一般内科, 栄養学
なるべく 色んなこと(他の環境や動物との共存等)を経験させて慣らしておくことで、減らせるストレスはたくさんあります。

人だけでなく、他の猫やその他の動物などにも慣れさせておくと、災害時に猫が感じるストレスは軽減できるでしょう。

岩手県
ご近所さんにもネコを飼ってることをお知らせしておくといいかもしれません。

近所の方にも自分の猫を知っておいてもらうのもいいですね。

猫との避難で大切なこと・やっておきたいこと

災害時は、猫と一緒に避難することも考えられます。いざという時になって慌てないよう、避難の対策も行っておきましょう。

避難所を確認しておく

まずは猫も連れて行ける避難所があるかどうかを確認しましょう。連れて行ける避難所だったら、どこにあるかもチェックしておきましょう。

埼玉県
臨床経験:21-25年
避難所を確認しておくこと。
大阪府
一緒に避難できる場所を知っておく。

避難場所の確認をしておくことには、100人の獣医師全員が同意されています。

東京都
臨床経験:6-10年総合診療, 循環器科, 一般内科
キャリーに入れた猫とフード、トイレなど実際に運べるか確認しておく。
東京都
臨床経験:6-10年総合診療, 循環器科, 内分泌・代謝疾患
避難先の下見、一時預かり先の確保。

避難所の下見や、実際に荷物を持って猫を連れて行けるかどうかの確認も必要です。

愛知県
知らないところに連れて行くのはストレスがかなりかかるので、ケージカバーを作成したり、猫が静かで安全に過ごせる場所を探しておく方がいい。

災害が起きて避難をするときのために、猫のストレスが少なくなるような対策もしておきましょう。

家族で話し合っておく

家族で避難について話し合っておくことについて100%の先生が同意しています。災害が起きたとき、避難はどうするか家族で話し合って方針を決めておくようにしましょう。

すぐに逃げ出せるように

とっさのとき、すぐ行動できる対策も必要です。

大阪府
臨床経験:21-25年一般内科
すぐに手に取れる場所にケージ、猫袋を。
大阪府
すぐに捕まえられるように慣れておく。

まとめ

猫の災害対策、後半では、災害時に備えた猫の生活環境、避難に関する対策、また避難時に猫が迷子にならないようにするための方法などをお伝えしました。

【関連記事】「災害から猫を守ろう【前半】~日頃からの備え~」はこちら

猫は環境の変化に敏感で、変化によるストレスを受けやすい動物です。猫が安心して避難できるように、できる限りの対策を行っておきましょう。もちろん、飼い主の方ご自身の災害対策、準備も忘れないで下さいね。