犬の災害対策で準備しておきたいこと【前半】〜日頃の備え〜

2019/06/07

vol.032

大地震、台風、大雨、水害などの大きな災害は、いつどこで起こるかわかりません。人間用の避難袋はあるけれど、犬の分はどうすればいいのか分からない、という飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。愛犬の命を守るためにも、災害対策は必ず行いましょう。

日頃からどのような準備をしておけばいいのか、100名の獣医師にご意見を伺いました。参考にして今から準備を始めましょう。

猫のための災害対策に関する記事「災害から猫を守ろう【前半】~日頃の備え~」はこちら
猫のための災害対策に関する記事「災害から猫を守ろう【後半】~しつけ・迷子予防・避難~」はこちら

犬の災害対策の必要性

犬の災害対策について、95%の獣医師が「必要である」と回答しています。どのような対策をすればいいのか、確認していきましょう。

準備しておきたい避難用品や備蓄品

必ず用意しておきたいもの

  • クレートやキャリーバッグ
  • 名前や連絡先など犬と飼い主情報、犬の写真
  • ペットフード・犬用の飲料水(5日分以上のストック)
  • 予備首輪・リード
  • 常備薬
  • ペットシーツ(高齢犬はオムツなど)
  • ビニール袋・ゴミ袋
  • 猫用予備トイレ・予備のトイレ砂
  • ワクチン情報や既往症などを記入した健康カード

避難用品としてクレート・キャリーバッグ、フード、ペットと飼い主さん情報、常備薬、予備の首輪やリードは必須です。その他、ペットシーツやビニール袋、健康カードなども用意しておきましょう。

避難用品、備蓄用品についての注意点

神奈川県
臨床経験:26-30年外科
首輪や胴輪に名前と連絡先を記載しておく。

予備の首輪や胴輪には名前や連絡先を書いておくことも忘れないようにしましょう。

福岡県
臨床経験:0-5年一般内科, 歯科・口腔外科, 循環器科
フィラリア・ノミ・マダニ駆除薬。

フィラリア予防、ノミ・マダニ駆除薬も常備薬に入れておくと安心です。かかりつけの獣医さんに相談しておきましょう。

大阪府
臨床経験:16-20年総合診療, 腫瘍科
処方食(食べているなら)。

処方食はなかなか手に入らないこともあるので、必ずストックしておきたいですね。

神奈川県
臨床経験:11-15年総合診療, 一般内科, 皮膚科
健康手帳、既往歴の記載あるもの、マイクロチップナンバー。
北海道
病院の連絡先。

既往歴がわかる犬の健康手帳は用意しておきたいですね。またマイクロチップナンバーや、かかりつけ病院の連絡先も記載しておきましょう。

犬によっては口輪を

避難先でのトラブル防止のために、犬の性格によっては口輪なども用意しておくと安心です。

千葉県
臨床経験:36-40年総合診療, 外科, 一般内科
場合により口輪など制御用品。

服は防寒+抜け毛予防に

犬の服を用意しておくと、防寒だけでなく毛が飛び散るのを防ぐことができます。

滋賀県
臨床経験:26-30年循環器科, 消化器科, 皮膚科
避難場所で毛が飛ばないように服。
和歌山県
服、雨具、カイロなど防寒具。

怪我予防に靴も入れておく

ガラスが割れているところを歩くと、犬がケガをしてしまう危険性もあります。靴も入れておきましょう。

東京都
臨床経験:6-10年総合診療, 循環器科, 一般内科
ガラスの破片など足の裏のけがに注意。
和歌山県
靴。

ブラシやコームも

ブラシやコームを入れておけばお手入れもできます。特に長毛種の子は絡みやすいので、忘れず入れておきましょう。

東京都
臨床経験:11-15年総合診療, 眼科, 一般内科
ブラシ・コームなど。

すぐ持ち出せるように

避難用品や備蓄品は用意するだけでなく、災害時にすぐ持ち出せるようにしておく ことも大切です。フードや水の賞味期限も時々確認しておきましょう。

滋賀県
臨床経験:26-30年循環器科, 消化器科, 皮膚科
避難用品や備蓄品はすぐ持ち出せるようにしておく。定期的に賞味期限をチェックしておく。

犬の周囲を確認して身の安全を

犬が普段過ごしているスペースの災害対策も行っておくことで、もしも犬が留守番中に災害が発生しても、身の安全を守ってあげられるようにしておくことが大切です。

家具の転倒防止

災害時に備えて、もしものときに家具が倒れてしまわないようにしておきましょう。これについては100%の獣医師が同意しています。飼い主さん自身の身の安全を守ることにもつながりますね。

大阪府
家具の転倒に注意する。

人間にとってはなんてことない高さからの物の落下も、犬には大きな危害を及ぼす可能性があります。棚など高いところから物が落ちてこないようにすることや、ガラスが割れても飛散しないようにしておくことも重要です。

犬の目線で環境を確認することも大切ですね。

北海道
臨床経験:6-10年循環器科, 一般内科
犬の目線は人より低いことに注意してください。

家の中での犬の避難場所も確保

家の中で、犬が避難できる場所も作っておくようにしましょう。クレートやケージを用意しておきましょう。

愛知県
臨床経験:36-40年一般内科, 消化器科, 泌尿器科
犬の避難できる場所を作っておく
クレートトレーニングをし普段から慣れておくこと。
滋賀県
臨床経験:26-30年循環器科, 消化器科, 皮膚科
犬が一人で留守番するときには必ずゲージ内で留守番をさせる。

災害対策は日頃の健康管理も大切

災害が起こったときは、体調不良になりがちです。また感染症も蔓延する危険性もあり、愛犬の健康管理もやっておくことが大切です。

狂犬病予防・ワクチン接種は必須

狂犬病予防注射やワクチン接種については100%の獣医師が同意されています。
災害はいつ起きるか分からないので狂犬病の鑑札やワクチンを接種してる証明や薬の有無の健康手帳を持参しているといいと思います。 健康手帳を作って、ワクチンを接種の記録をしておくことも大切です。狂犬病の鑑札もつけておきましょう。

愛知県
臨床経験:36-40年一般内科, 消化器科, 泌尿器科
ワクチン記録など、健康手帳を用意する。
東京都
臨床経験:0-5年皮膚科, 一般内科, 循環器科
災害はいつ起きるか分からないので狂犬病の鑑札やワクチンを接種してる証明や薬の有無の健康手帳を持参しているといいと思います。

犬の健康時のデータを記録

定期的な健康診断で、普段から犬の健康状態を記録しておくことで、体調不良のサインに気づきやすくなります。

北海道
臨床経験:21-25年一般内科, 腫瘍科, 皮膚科
定期検診、定期的な血液検査、それらの結果をまとめて保管しておくこと。
宮城県
臨床経験:21-25年一般内科, 皮膚科, 行動診療科
既往症のある動物の薬の予備、処方食のストック、普段使用している薬品名の記録は必要です。

犬の健康データを知っておく・理解しておく

記録するだけでなく、犬の健康データを飼い主さんがきちんと把握しておくことも重要です。愛犬の平熱・服用中の薬や、その予備・持病があれば病名などについてしっかりと理解しておきましょう。こうすることで、かかりつけの獣医師に相談できない場合に備えることが出来ます。

岐阜県
臨床経験:0-5年一般内科, 内分泌・代謝疾患, 皮膚科
愛犬の健康状態や病気の名前、薬の名前など飼い主がしっかり理解しておく。
千葉県
臨床経験:36-40年総合診療, 外科, 一般内科
平熱くらいは把握しておこう。
大阪府
臨床経験:21-25年一般内科
健康な時のデータを知っておく。

今は治っていても、以前にかかっていた病気がある場合はその薬の予備も持っておくと安心かもしれませんね。

家族全員で犬の情報を共有することも忘れずに

犬の情報は家族全員で共有しておきましょう。家族の誰もが犬をケアできるようにしておくことが大切です。

愛知県
臨床経験:11-15年一般内科, 呼吸器科, 循環器科
家族内での情報共有。
神奈川県
臨床経験:26-30年外科
普段の食事量やトイレの回数、投薬などを家族全員で把握しておいて、有事の際は誰でもペットをケアできるようにしておく。

まとめ

前半の記事では、災害に備えて日頃から準備しておきたいことについて伺いました。いつ起こるかわからない災害、今から準備しておきたいですね。

迷子予防や避難に関する犬の災害対策については、「犬の災害対策で準備しておきたいこと【後半】〜迷子予防と避難〜」をご覧ください。