犬の災害対策で準備しておきたいこと【後半】〜しつけ・迷子予防・避難〜
2019/06/07
vol.033
災害時には犬が迷子になることと、知らない人や犬が集まる避難所に行くことも大きな不安ではないでしょうか。災害時の迷子予防や避難には、日頃のしつけも重要になります。
犬の災害対策について、前回の「犬の災害対策で準備しておきたいこと【前半】〜日頃の備え〜」につづき、災害に備えてやっておきたいしつけ、迷子予防、避難について100名の獣医師に伺いました。
猫のための災害対策に関する記事「災害から猫を守ろう【前半】~日頃の備え~」はこちら。
猫のための災害対策に関する記事「災害から猫を守ろう【後半】~しつけ・迷子予防・避難~」はこちら。
災害対策にはしつけが重要
災害時にパニックになって飼い主の言うことを聞かない、避難所で吠える、ということがあっては大変です。日頃からしつけをしておきましょう。
クレート・キャリーバッグに慣れさせる
クレートやキャリーバッグに慣れさせることは、99%の獣医師が同意しています。避難の際も、避難所でも使うクレートやキャリーバッグに慣れておくと、災害時の犬のストレスも緩和できます。
- 神奈川県
臨床経験:6-10年総合診療, 一般内科, 外科- 災害時にはクレートの中に入っている時間が長くなります。また小屋代わりにもなりますので、クレートトレーニングは重要です
- 広島県
- ケージトレーニング、他の犬への馴化は絶対にしておきましょう
- 東京都
臨床経験:11-15年総合診療, 眼科, 一般内科- 吠えればなんとかなると思ってしまうようなワガママな犬にしない。無駄吠えしない犬にする
社会化をしておく
いろいろな人や犬と触れ合ったり、人がたくさんいる場所にも慣れさせたりすることで 社会化をしておきましょう。 災害時は知らない人に世話をしてもらうこともありますし、避難所では多くの見知らぬ人、犬が集まります。
- 東京都
臨床経験:0-5年皮膚科, 一般内科, 循環器科- オーナーさんと離れて生活を一時的にしなくてはいけない事もあるかもしれないので、他人にも慣れておく必要があると感じます
- 北海道
臨床経験:6-10年循環器科, 一般内科- 飼い主以外の人や他の犬にも慣れさせておく
- 大阪府
臨床経験:16-20年総合診療, 腫瘍科- 人が集まる場所に慣れておく
災害時に役立つしつけを
災害時は犬も人もパニックになりがちだからこそ、普段からしつけをしておきたいですね。
- 大阪府
臨床経験:0-5年歯科・口腔外科, 一般内科- 興奮しても飼い主の声が届くように訓練しておく
- 大阪府
- おいでなどできるようにしておく
- 北海道
- 老齢でもしつけにチャレンジする
迷子予防でやっておきたいこと
災害時は犬が迷子になってしまうことが考えられます。対策をしておくことで、迷子になっても再会できる確率をあげることができます。
首輪に迷子札・鑑札・狂犬病予防注射票を付ける
犬の首輪には名前や住所を記入しておくとともに、鑑札や狂犬病予防注射票を付けておきましょう。名前を入れてくれる首輪や迷子札が市販されているので、利用するのもいいですね。
- 山口県
- 首輪に必要情報を記入しておく
名前だけでは連絡することができません。電話番号も記入しておきましょう。
- 宮城県
臨床経験:21-25年一般内科, 皮膚科, 行動診療科- 迷子札に動物の名前だけ書いているものがあります、連絡のつく電話番号を書かなければいけません
雨に濡れても名前や連絡先が消えないようにしておく ことも大切ですね。
- 和歌山県
- 濡れても大丈夫な迷子札。平時から家でも外さず、ずっと首輪と一緒に着用しておくこと
マイクロチップの装着
首輪は時に外れてしまう事があります。そのためにもマイクロチップの装着をしておくことは重要です。
- 神奈川県
臨床経験:16-20年一般内科, 外科, 循環器科- 逃走時には多くの場合、首輪は外れてしまっているという現実を知って欲しい
- 神奈川県
臨床経験:6-10年総合診療, 一般内科, 外科- 災害時はマイクロチップが入っているかどうかで、飼主様の元に戻ってくるかどうか、確立がかなり変わりますので、積極的に検討して頂くと良いです
マイクロチップは動物病院で装着することができます。補助金が出る自治体もあるのでまずはかかりつけの動物病院に問い合わせてみましょう。
犬の写真も撮って持ち歩いておく
迷子になった犬を探してもらうときや、見つかったときに自分の犬だと証明するためにも写真を持ち歩きましょう。スマートフォンや携帯電話に保存しておくといいですね。飼い主と一緒に写った写真も撮っておきましょう。
- 岐阜県
臨床経験:0-5年一般内科, 内分泌・代謝疾患, 皮膚科- 犬の写真を持ち歩く(携帯にとっておく)
- 東京都
臨床経験:0-5年皮膚科, 一般内科, 循環器科- 犬もオーナーさんもその家族である証明になるものをいざという時に持ち合わせているといいですよね
犬と避難すること
犬を連れて避難するときに注意したこと、避難所で気を付けたいこともあります。またペットと避難所を設置していない自治体もあるので、飼い主はさまざまな状況を想定して準備しておく必要があります。
家族で話し合っておくことは重要
災害が起こったときどうするかを家族で話し合っておくことは重要です。避難するとき、留守中に起きたときなどの対策や方針を決めておきましょう。
- 北海道
- 家族で対応を決めておく
- 大阪府
- 非常時の対策を話し合っておく
避難所へのルートを確認
日頃のお散歩で、避難所までのルートをチェックしておくといざというときも安心ですね。
- 神奈川県
臨床経験:16-20年皮膚科, 腫瘍科, 外科- お散歩でのルートチェックはやると良いでしょう
同行避難できない自治体も
自治体によってはまだペットと同行避難できないところもあります。お住まいの自治体の方針や避難所について調べておくことをおすすめします。
- 神奈川県
臨床経験:26-30年外科- 私達の地域では現時点では実際災害が起きてみないと、ペット同伴可の避難所が設定されていない。
- 埼玉県
臨床経験:6-10年皮膚科, 一般内科- 避難所でのペット同伴の可否の確認
- 千葉県
臨床経験:26-30年総合診療, 外科, 一般内科- 同行避難に対応できていない行政があるので同行避難が可能になるように行政に働きかけておく
避難場所や預け先の確保
同行避難できない場合や、体調不良になったときのためにも避難場所や預け先を確保しておきましょう。
- 大阪府
- 一緒に避難できる場所をさがしておく
- 大阪府
臨床経験:0-5年歯科・口腔外科, 一般内科- 犬と避難できる場所を確保しておく
避難所にいったときのために
避難所にはたくさんの方が避難してきます。同行避難できる自治体だとしても、中には動物が苦手な方もいらっしゃいます。
- 宮城県
臨床経験:21-25年一般内科, 皮膚科, 行動診療科- 避難場所は、動物が嫌いな人も利用しています。心無い言葉を投げかけられ、避難場所を出ていく人が数多くいました。
- 大阪府
臨床経験:21-25年一般内科- 犬の嫌いな人への配慮、口輪など
動物が苦手な人、飼ったことのない人もいることを知ったうえで、他の避難者に迷惑にならないようにしつけておくことが大切です。
まとめ
いざというときは、なかなか思うように行動できないこともあります。だからこそ犬のために、今から準備しておくことが大切です。
- 東京都
臨床経験:0-5年皮膚科, 一般内科, 循環器科- 命に関わる危険から回避させてあげるのはオーナーさんの務めです。ただオーナーさんの身の安全が確保できる状況が大前提です。
- 和歌山県
- まず自分の災害対策をする、そうすると犬の対策も見えてくる
このように飼い主の方自身の災害対策も重要というご意見も多くいただいています。大切な犬を守るためにも自分の身を守るための準備もしておきましょう。