犬の肥満の原因とは? 無理のないダイエット法

2019/06/14

vol.034

愛犬の適正体重をご存知ですか? 「うちの愛犬は肥満ではない」と飼い主が思っていても、実はすでに肥満状態にあるかもしれません。
今回は、獣医師100名に犬の肥満の原因や危険性、ダイエット法について伺いました。

肥満な犬、どのぐらいいる?

獣医師100名に、診察する犬のうち、肥満状態にある犬の割合を伺ったところ、「2-3割」の回答が半数以上を占めました。「1割程度」「6-7割」という回答もあり獣医師によって回答に差がありますが、肥満状態の犬は意外と多くいそうです。

犬の肥満の危険性は?

犬の肥満の弊害について獣医師100名に伺ったところ、9割以上の獣医師が「様々な病気のリスクが増加する」「関節や筋肉を傷めやすくなる」という項目に同意しました。また、「散歩などを嫌がるようになり、運動不足になる」という項目も8割程度の獣医師が同意しました。

その他、考えられる犬の肥満の弊害について伺ってみました。

病気のリスクが上がる

東京都
臨床経験:31-35年総合診療, 内分泌・代謝疾患, 一般内科
関節炎、ヘルニア。
北海道
臨床経験:16-20年皮膚科, 一般内科, 血液学
短頭種やもともと気管の形成不全などがある小型犬における呼吸困難症状。
愛知県
臨床経験:11-15年総合診療, 運動器科, 皮膚科
皮膚病になりやすくなる。

肥満により、関節や呼吸器、皮膚などの様々な病気のリスクが上がります。
また、生活習慣病の発症リスクも上がります。

北海道
生活習慣病の発症リスクが増加する。

手術のリスクが上がる

東京都
臨床経験:6-10年外科, 眼科, 救急救命科
手術が必要となった時に麻酔のリスクが上がる。

なんらかの手術を行う際、肥満により麻酔のリスクが上がります。

食事や薬の管理が難しくなる

和歌山県
臨床経験:6-10年内分泌・代謝疾患, 一般内科, 総合診療
ふだんから肥満傾向の犬は食事もより好む傾向が多いため、病気になったときにさらなる食事管理がしづらくなることが多い。
大阪府
臨床経験:26-30年皮膚科
薬用量の調整が煩雑。

犬の体重コントロールを甘く見ると、結果的にワンちゃんを苦しめることに繋がってしまうのですね。

犬の肥満のよくある原因は?

アンケートに回答した獣医師100名全員が「おやつの量が多すぎる」ことを原因として挙げられました。また、9割以上の獣医師が「フードの量が多すぎる」「フードが不適切」ということもよくある原因として回答されました。犬の肥満の多くの原因は、おやつやフードが関係しているようです。

そのほか、犬の肥満のよくある原因について伺ってみました。

飼い主の認識

広島県
臨床経験:16-20年総合診療, 腫瘍科, 放射線科
肥満自体への認識の誤り。
神奈川県
臨床経験:11-15年総合診療, 一般内科, 消化器科
肥満は病気です。飼い主の責任です。運動不足として犬に責任転嫁しないでください。おやつをあげたい気持ちは分かりますが、その甘えが寿命を縮める可能性があることを理解してください。

「飼い主が肥満と認識していないことが原因で、フードを多く与えすぎている」というご意見を多くいただきました。まずは、飼い主が犬の適正体重を理解することが重要です。

東京都
臨床経験:6-10年歯科・口腔外科, 皮膚科, 外科
人の食べ物はあたえない。

人の食べ物を与えることは、犬の健康に良くありません。「犬にとって理想のフードはドッグフードである」という認識を飼い主が持つようにしましょう。

フード・おやつの与えすぎ

東京都
臨床経験:31-35年総合診療, 内分泌・代謝疾患, 一般内科
おやつが多い。
東京都
臨床経験:21-25年総合診療, 循環器科, 消化器科
運動もしない室内飼育の犬に高品質(高栄養)のフードを選んで与えすぎ。

おやつやフードの与えすぎもよくある原因です。犬の適正体重を理解し、適切な食事管理を心がけましょう。

避妊・去勢手術後も注意

大阪府
避妊手術後の食生活と間食の多食。

避妊・去勢手術の後は、ホルモンバランスの変化によって食欲が増加し、太りやすい体質になります。獣医師の指示に従ってフード管理を行いましょう。

獣医師が勧める犬のダイエット法とは?

獣医師100名に、犬のダイエット法について伺ったみたところ、「体重管理用の療法食を用いる」という回答で9割以上の獣医師が同意しました。

ダイエットフードに変えたり、フードの量を減らしたりすることは推奨されますが、「急激に」フードの量を減らすことはNGです。

東京都
臨床経験:6-10年腫瘍科, 血液学, 皮膚科
過剰体重の犬を運動させて痩せさせるという発想は、体に負担をかけるのでお勧めしません。
兵庫県
臨床経験:0-5年総合診療, 一般内科, 腫瘍科
病院にてアドバイスをうけること。

過剰な運動はかえって犬の体に負担をかけてしまいます。まずは獣医師に相談し、療法食の導入を考えてみましょう。

飼い主の意識を変える

神奈川県
臨床経験:11-15年総合診療, 一般内科, 消化器科
飼い主の意識改善が一番のポイントです。自分でできる場合には病院での指導は必ずしも必要ではありませんが、半年以上成果が現れないなら指導を仰ぐべきでしょう。
埼玉県
臨床経験:11-15年一般内科, 循環器科, 泌尿器科
継続する努力が必要。

まずは、飼い主が意識を改め、犬の適正体重を理解することが重要と言えます。

おやつの与えすぎに注意

兵庫県
臨床経験:0-5年総合診療, 外科, 運動器科
一定期間おやつをやめること。

普段から犬におやつを与えている場合は、まずおやつを与えることを止めてみましょう。

フードの与え方

和歌山県
臨床経験:6-10年内分泌・代謝疾患, 一般内科, 総合診療
できるだけ食事量はカップやスプーンで量らずにハカリでg単位で準備しましょう。毎回量るのは面倒なので1週間分をまとめて準備するとよいと思います。
大阪府
今与えているフードの給与量を少なくしてもらい、減量できなかったら処方食を与える。

飼い主の感覚でフード量の管理をしてはいけません。理想体重に必要なカロリーを計算して、毎回フードの量を計測して食事管理をしましょう。

適切な量の運動をする

東京都
臨床経験:6-10年眼科, 総合診療, 一般内科
散歩をしましょう。人の健康にもいいですよ。
東京都
臨床経験:26-30年総合診療, 循環器科, 皮膚科
水中運動の有効性

食事管理を行った上で、散歩などで適切な量の運動を行うと良いでしょう。
水槽の中で行う水中療法は、関節に負担がかからないため犬のダイエットに効果的です。専門のインストラクターのいるところで行いましょう。

まとめ

犬は肥満によって、様々な病気のリスクが高まります。多くの場合、獣医師の管理と飼い主の意識の変化によって、肥満を解消することができます。まずは獣医師に相談して、今のフードや食生活を見直してみましょう。

東京都
臨床経験:6-10年眼科, 総合診療, 一般内科
肥満は万病の元。

大切な愛犬を守るためにも、飼い主の意識を変えることが重要ですね。