野良猫を飼うときに注意すべきこと
2019/06/21
vol.035
「近所の野良猫が懐いてきた」「道端で捨てられた子猫を拾った」など、野良猫を飼い始める理由は様々です。野良猫を飼うときに注意すべきことは、ペットショップの猫を飼うときと異なる点はあるのでしょうか。
今回は、獣医師100名に野良猫の保護・飼育について、成猫・子猫のケース別にご意見を伺いました。
<成猫>の野良猫を拾ったら?
まずは、成猫の野良猫を飼い始めるケースをみてみましょう。
「キャットフード用の器や水入れを、先住猫と分ける」「避妊・去勢手術をする」「まずは動物病院で受診する」の項目で9割以上の獣医師が同意しました。
また、意外かもしれませんが「お風呂に入れる」ことについては27%の獣医師が反対をしています。
さらに詳しく、成猫の野良猫を飼育する際の注意点を獣医師に伺ってみました。
まずは動物病院で受診
- 京都府
- まずは猫を人間になれさせてから(人間になれてる場合はこのステップは不要)、獣医師に診察を受けるべき。受診までの間は隔離。
ただ順序はその限りでなく、弱っている場合はまずは獣医師の診察を優先すること。
- 埼玉県
臨床経験:11-15年循環器科, 皮膚科, 総合診療- 感染症があるので、家の中で放す前に必ず病院を受診して下さい。
必ず最初に動物病院に受診をしましょう。野良猫はどんな感染症を持っているかわかりません。病院で受診するまでは家で隔離して様子を見ましょう。
また、先住猫がいる場合は、先住猫のワクチン接種を済ませておきましょう。
- 大阪府
臨床経験:26-30年皮膚科- 外部寄生虫の他、色々な,細菌、ウイルス等、目に見えない病原菌も持っているので、全部、予防可能な物は予防処置を施してから飼育開始する方が良い。
動物病院に連れていく際は、野良猫であることを動物病院に伝えてください。ノミ・ダニの駆除やウイルス検査などが行われます。これらの検査が終わるまでは、必要以上に猫に触れないようにしましょう。
また、野良猫が人に慣れないうちは、飼い主が怪我をしないように注意して接しましょう。
猫が慣れるまでそっとしておく
- 東京都
臨床経験:11-15年総合診療, 一般内科, 循環器科- 部屋を暗くして、過度に干渉しない。
- 鹿児島県
臨床経験:11-15年一般内科, 皮膚科, 歯科・口腔外科- 先住猫がいる場合はすぐには会わせない。
すぐに慣れない猫もいるので2週間位はそっとしておく。
保護した猫が、人や先住猫・生活環境に慣れるまでは、しばらくそっとしておくようにしましょう。
<離乳前の子猫>を飼い始めるときは?
さきほどは成猫の野良猫のケースでしたが、離乳前の子猫の野良猫を拾った場合はどうなのでしょうか。
離乳前の子猫の野良猫の飼育に関して獣医師100名に伺った結果、獣医師の多くがほぼすべての項目で同意しました。子猫の野良猫の飼育に関しては、これらすべての項目が重要であると言えます。
親猫がいないか確認する
- 東京都
臨床経験:16-20年放射線科, 外科, 神経科- 親猫がいないのかよく見てから保護すること。離乳前の猫の飼育経験がないならば、動物病院や動物保護団体で一通り教えてもらいましょう。
拾った猫の親猫が本当にいないのか、周囲を確認してから保護しましょう。
必ず最初に、動物病院で受診する
- 神奈川県
臨床経験:11-15年一般内科, 消化器科, 循環器科- 感染症の検査と予防をしましょう。
また、体温がすぐに低くなるので、暖かくしてあげてください。
成猫と同様、子猫の場合も感染症などの検査を行う必要があります。保護したらまず、動物病院に連れていきましょう。
人間用のミルクをあげない
- 鹿児島県
臨床経験:11-15年一般内科, 皮膚科, 歯科・口腔外科- 人間用のミルクは与えないように。
子猫には猫用ミルクを与えてください。猫は牛乳に含まれている乳糖を分解する酵素をあまり持っていないため、下痢をしてしまう可能性があります。子猫に人間用のミルクを与えないように注意しましょう。
手間がかかることを知った上で保護する
- 大阪府
臨床経験:26-30年皮膚科- 勝手には育たない。人間が親猫の代わりに成ったうえに、更に時間、経費、手間を沢山使って育てないと育たない。
- 神奈川県
臨床経験:6-10年総合診療, 一般内科, 外科- 離乳前の子猫を人が育てるのは大変なことで、亡くなる可能性が高いことを知っておいて欲しい。
子猫はちょっとした変化で体調が崩れやすいです。親猫がいなければ、勝手に大きく成長することもありません。責任を持って飼える環境であることを確認してから、子猫を受け入れてあげましょう。
動物愛護団体や、獣医師から子猫の正しい育て方について教えてもらうと安心ですね。
- 北海道
- 母猫がいないなら、ベテランの愛護団体のボランティアさんに育て方を相談するべき。
まとめ
野良猫の飼育にはいくつか注意点があることが分かりました。最初に野良猫を拾ったら、まずは動物病院に連れて行くようにしましょう。
子猫の野良猫を保護した場合は、より注意が必要です。まずは動物病院で受診し、正しい子猫の飼育方法を相談しながら育てていきましょう。
- 神奈川県
臨床経験:6-10年総合診療, 一般内科, 外科- 野良猫の問題はたくさんあり、我々が野良猫とどう付き合っていったら良いか、一緒に考えて欲しい。
野良猫は野生動物と同じです。飼い始める前に、責任を持って最後まで飼育する心構えをもつことが大切です。