犬の歯磨きと病気予防【前半】~歯磨きの効果~

2018/07/23

vol.008

「犬も歯磨きをしたほうがいい」と聞いたことがあるけれど、なかなかできない、やらせてくれない…と悩んでいる飼い主さんも多いのではないでしょうか。
そこで、100名の獣医師に、犬の歯磨きの必要性や効果、続けるコツなどを伺いました。

この記事のつづき「犬の歯磨きと病気予防 【後半】~歯磨きのコツ~」はこちら

意外と多い、歯磨きに苦労する犬

歯磨きに苦労してしまう、犬が嫌がってやらせてくれないと悩む飼い主さんは多くいらっしゃいます。獣医師100名に、歯磨きに苦労する犬がどの程度いるか伺いました。

「6-7割」程度はいるという回答が最も多く、続いて「4-5割」という回答が多くあります。犬の歯磨きに苦労している飼い主さんは多くいることが分かります。
今苦労している飼い主さんも、これから歯磨きにチャレンジする飼い主さんも、上手に犬の歯磨きができるようになりたいですね。

犬の気になるお口のトラブル

「なんとなく犬の口が匂う」「歯の汚れがある」というときは、もしかしたら口腔内にトラブルを抱えているかもしれません。
そこで、口腔内にトラブルのある犬がどの程度いるのか、獣医師100名に伺いました。

口腔内にトラブルがある犬について、最も多くの回答をいただいたのが「6-7割」です。続いて、「8-9割」、さらに「9割以上」と続きます。口腔内にトラブルのある犬は、思ったより多いと感じたのではないでしょうか。

トラブルがないと思っていても、実は気づけていないだけかもしれません。愛犬のお口、今一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

犬の歯磨きの歯周病予防効果

犬の歯磨きが歯周病予防にどの程度の効果があるかを伺いました。

「たいへん効果がある」「どちらかというと効果がある」を合わせると、96%の獣医師が「犬の歯磨きは歯周病予防に効果がある」と答えています。
効果があまり見られない場合もあるようですが、続けてみることは意義がありそうです。また、犬の歯磨きは歯周病予防だけでなく、他にも様々な効果をもたらします。

歯周病以外にもこんなにある! 歯磨きの効果

犬の歯磨きで期待される効果について、より詳しく獣医師にお尋ねしました。

歯周病由来・歯以外の病気予防

歯の健康が、心臓などほかの臓器や全身感染症に関わっています。歯を磨くことは、犬の全身ケアにつながります。

心臓・腎臓の疾患予防になります。

愛知県
臨床経験:16-20年
得意な診療科:皮膚科,循環器科,一般内科
歯石を防ぎ、心臓腎臓病などの予防になる。
歯の健康は心臓病、腎臓病への関係があると言われています。長生きの基本としてのオーラルケアをお奨めします。

生活習慣病や、その他全身の感染症予防にも効果的です。

埼玉県
臨床経験:1-5年
得意な診療科:一般内科,皮膚科
歯周病に付随する生活習慣病(心内膜炎・肝炎など)の予防。
東京都
臨床経験:16-20年
得意な診療科:歯科・口腔外科,循環器科
全身的な感染症の予防。

歯磨きそのものの効果(口臭予防など)があるというご意見

秋田県
得意な診療科:総合診療,一般内科,内分泌・代謝疾患
口臭を防げる。

歯を磨くことで、歯垢(プラーク)を除去することができ、口臭の予防にもなります。

しつけ・コミュニケーション・スキンシップがとれる

顔、特に口周辺を触られるのが苦手な犬は結構います。犬の口を触って、さらに歯を磨けることは、しつけの面でも効果があるのですね。

東京都
得意な診療科:一般内科,内分泌・代謝疾患,皮膚科
主従関係がしっかりとするので、しつけが入りやすい。
東京都
臨床経験:6-10年
クスリの投薬が容易だったり、オーナーが飼い犬に対しての順位付けが上位になれるなど。

犬の口に触れることに慣れさせておくと、動物病院での受診や健康チェックも容易になります。

千葉県
臨床経験:6-10年
得意な診療科:一般内科,外科,歯科・口腔外科
口を触らせてくれる犬になるので、口腔内疾患になった場合獣医が見やすい犬になってくれる。

歯磨きをすることで犬と触れ合い、コミュニケーションをしっかりとることができます。
飼い主が犬の口を触れることは、信頼の証の1つでもあります。

埼玉県
犬とのコミュニケーションを通して絆を深める効果がある。

さらに歯磨きは、犬へのスキンシップにもなります。歯磨きが飼い主さんの優しい手で、触ってもらうことが心地よく、安心できる時間になるようにしたいですね。

神奈川県
臨床経験:26-30年
飼い主様とのスキンシップになり、耳掃除や爪切りなども無理なく出来るようになる効果も期待できます。

歯磨きによって、犬の病気の早期発見につながることもあります。

愛知県
臨床経験:21-25年
歯みがきをすることで、飼い主様が口や顔のトラブルを発見しやすくなる。

次のようなご意見もありました。犬が嫌がるのを無理に行ったり、厳しすぎたりしないようにしたいですね。

静岡県
臨床経験:6-10年
得意な診療科:泌尿器科,放射線科,総合診療
噛みつき防止効果、歯周病が予防できることもあるが、むしろ、ひどくなる可能性も高い。

歯磨きはどのくらいの頻度でやるといいの?

いろいろな効果が期待できる歯磨き。どのくらいの頻度で行えばいいのか気になります。
歯磨きの頻度についても、獣医師に伺いました。歯磨きは続けること、習慣にすることが大切です。犬のためにも、嫌がらず楽しくできる方法を考えたいですね。

できればある程度の回数で歯磨きさせたい(毎食後・毎日)

獣医師100名に伺ったところ、「毎日」「毎食後」という回答が多く寄せられました。

岡山県
臨床経験:6-10年
得意な診療科:行動診療科,歯科・口腔外科,皮膚科
歯周病は歯垢(プラーク)が原因。歯垢は毎日蓄積するので毎日必要。
北海道
臨床経験:11-15年
得意な診療科:総合診療,循環器科,消化器科
週2、3回でも十分だが、それだとほぼ確実にやらなくなるので、面倒でも毎日するよう習慣化する。

毎日が難しい場合は、2、3日に1回でも磨いてあげたほうがよさそうです。

静岡県
臨床経験:1-5年
得意な診療科:一般内科,総合診療,皮膚科
毎日がベストですが、なかなかやらせてくれない子の場合は、2、3日を目指すといいのではないでしょうか。

歯石が付着するのは人間よりも犬の方が早いので、定期的な歯磨きはやってあげましょう。

東京都
得意な診療科:循環器科,呼吸器科,眼科
歯石は3日でつくので、 それよりも短い間隔で歯磨きをするようにすすめる。

無理のないペースで続けることが大事(継続)

「無理しないこと」が続けるコツでもあります。飼い主さんも犬にも負担にならないように続けていくことが大切ですね。

三重県
臨床経験:21-25年
得意な診療科:外科,一般内科,循環器科
長く続けられる頻度で。がんばって毎日始めたけど数週間でやらなくなったというより、週1回でも続けられる方が大事。

「うまく磨けなかった」というときでも、分けて磨く方法をとれば負担も少なくなりますね。一度に磨かず、少しずつでも続けることに意味があります。

東京都
臨床経験:6-10年
毎日の実施がオススメですが、嫌がる場合は一度で全ての歯を磨くのではなく、何回かに分けて磨いてあげてください。

犬の普段の食生活もチェックして、歯磨き頻度を調節することも可能です。どうしたらいいかわからないときは、獣医師に相談しましょう。

東京都
臨床経験:6-10年
基本は毎食後だが、ドライフードかウェットフードどちらを食べているか、食後に飲水ができるかどうかなどによって、頻度は変えることができる。

お互いがストレスにならない程度に

完璧にきれいにしようと気負い過ぎると、飼い主さんも犬もストレスになってしまいます。

東京都
臨床経験:16-20年
得意な診療科:泌尿器科,一般内科,総合診療
完璧を目指さない。
大阪府
臨床経験:21-25年
あまり熱心になり過ぎて、犬を叱ったりしないように。

なかなかうまくいかないときは、中止することも

あまりに抵抗するときや嫌がるときは、無理せず一度中止してみましょう。

岐阜県
臨床経験:26-30年
得意な診療科:一般内科,循環器科,総合診療
はみがきを抵抗する場合は一先ず中止して、後でトライする。

【前半】歯磨きの効果のまとめ

 1.歯周病予防
 2.心臓・腎臓の疾患予防
 3.生活習慣病や、その他全身の感染症予防
 4.口臭予防
 5.しつけの効果
 6.動物病院で受診や健康チェックが行いやすくなる
 7.飼い主とのスキンシップ
 8.病気の早期発見

前半の記事では、犬の歯のケア、とりわけ歯磨きの大切さがよくわかりました。歯のケアは、歯周病や歯肉炎、口臭予防だけでなく、全身の健康維持・病気予防にも効果的です。しつけやコミュニケーションにも役立つ歯磨きは、ぜひやっていきたいですね。

犬の歯磨きのコツについては、次回「犬の歯磨きと病気予防 【後半】~歯磨きのコツ~」をご覧ください。

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